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チーム全員が全力ディフェンス…“脇役“が輝くサンロッカーズ渋谷の天皇杯連覇はなるか
text by
吉川哲彦Akihiko Yoshikawa
photograph byB.LEAGUE
posted2021/01/02 11:01
チームのキャプテンを務めるベンドラメ礼生。12月20日の広島戦ではプロキャリアハイとなる14アシストをマーク
“脇役”の確かな存在感がSR渋谷を押し上げる要因
「伊佐さんのスタイルは全員バスケ。短い時間でも集中して自分のパフォーマンスを発揮できるスタイルで、自分もそのローテーションに入ることができている。生かしてもらっていると感じますし、僕自身も伊佐さんのスタイルに馴染むように努力していて、バスケが楽しいなと思えます。
北海道から出されて悔しい気持ちもあったんですが、上位に食い込んでいけるチームに巡り会えて、この歳で選手寿命が延びた、まだまだできると思わせてくれています」
野口に限らず、ベンチスタートやプレータイムのさほど長くない選手が役割と一定のプレータイムを与えられてフルにパフォーマンスを発揮するのが、伊佐HCのタイムシェア戦略の狙いであり、SR渋谷の最大の特徴。
ポイントガード用のディフェンダーとしてスターター起用されている関野剛平に関しては「まず彼がディフェンスのトーンをセットしてくれる」と全幅の信頼を寄せ、ジェームズ・マイケル・マカドゥについても「いろんなタイプの選手をディフェンスできますし、バスケIQが高いのでいろんな要求ができる。彼がベンチにいることで僕自身も落ち着いた試合運びができている」と高く評価。“脇役”の確かな存在感がSR渋谷を押し上げる要因になっていることは間違いない。
伊佐HCが体調不良で欠場しても……
ある意味でそれが最も強く表れたのが、12月5日・6日に行われた新潟アルビレックスBB戦だ。この2試合では、伊佐HCが体調不良で欠場するという思わぬ事態が発生。5日の試合開始1時間ほど前に浜中謙アシスタントコーチの代行指揮が決まるという、動揺を招きかねない状況下で試合に臨むこととなった。
しかしながら、チームの大黒柱であるベンドラメ礼生によれば「開幕前から、今シーズンはこういうことも起こり得ると想定していた」らしく、伊佐HCは不測の事態に備えて練習試合などでは他のコーチ陣に指揮を任せていたそうだ。ベンドラメ自身も「コーチ陣も選手もしっかり準備してきたんだから、自分たちのバスケットをするだけだとみんなに言いました」と落ち着いて試合に入ることができたと言う。