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【記録で12球団総括】大山悠輔・近本光司・梅野隆太郎で猛虎打線化 藤浪晋太郎の起用法…2021年阪神は夢がある 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2020/12/29 17:05

【記録で12球団総括】大山悠輔・近本光司・梅野隆太郎で猛虎打線化 藤浪晋太郎の起用法…2021年阪神は夢がある<Number Web> photograph by JIJI PRESS

お立ち台でポーズをとる(左から)近本光司、高橋遥人、大山悠輔。彼らが活躍すれば2021年の阪神は明るい

 その一方で昨今の阪神は失策数の多さが話題になっている。今年の失策数はリーグ最多の85、守備率.982、最少は巨人の43失策、守備率.990だ。この数字だけ見ると深刻なように見えるが、差異は1%以下。そこまで大きな差ではない。

 もともと守備率はベテラン野手の方が高くなる。無理目な打球に手を出さないからだ。阪神は守備機会の多い内野に若手が多い。また甲子園は土の内野なので人工芝よりイレギュラーが多い。それが失策数につながっている部分もあるだろう。何より「エラーするな」というプレッシャーをかけすぎると、野手が委縮してしまう。過度に目くじらを立てる必要はないのではないか。

藤川の後を受けたスアレスがクローザー定着

 2020年の阪神は、開幕の6月に2勝8敗と出遅れ、巨人の独走を許す一因となった。

「バースの再来」とまで言われた新外国人ボーアがさっぱりだったこともあり、投打のかみ合わせがちぐはぐだったのだが、それに加えてクローザーに起用された藤川球児が6月の3回の登板で4失点したのも大きい。

 今シーズン開幕時点で、藤川は日米通算243セーブ。名球会入りまであと7と迫っていた。昨年後半、ラファエル・ドリスに代わって目覚ましいクローザーぶりを見せていただけに期待が高まっていたが、7月21日で40歳となったベテランに抑えを託すのは賭けだった。

 藤川が離脱したために、阪神はシーズン中にクローザーを決め直すこととなり、スアレスに白羽の矢が立った。

 ソフトバンク時代にセットアッパーとして活躍したスアレスだが、2017年にトミー・ジョン手術をしてからは成績が低下、ソフトバンクを戦力外になって阪神に来た。使えるかどうかは未知数だったが、7月12日のDeNA戦に初セーブを挙げるとクローザーを危なげなく務めあげ、終わってみれば最多セーブに輝いた。

 スアレスが活躍できたのは自身の能力に加えて、クローザーにつなぐセットアッパーがしっかりしていたからだ。

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