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【記録で12球団総括】大山悠輔・近本光司・梅野隆太郎で猛虎打線化 藤浪晋太郎の起用法…2021年阪神は夢がある 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2020/12/29 17:05

【記録で12球団総括】大山悠輔・近本光司・梅野隆太郎で猛虎打線化 藤浪晋太郎の起用法…2021年阪神は夢がある<Number Web> photograph by JIJI PRESS

お立ち台でポーズをとる(左から)近本光司、高橋遥人、大山悠輔。彼らが活躍すれば2021年の阪神は明るい

 しかも昨年は新人リードオフマンの近本が1位だったが、今季は中軸の大山が1位。77.74という数字は際立っているとは言えないが、阪神生え抜きの打者が25本塁打以上打ったのは、2005年の今岡誠以来だ。

外国人やFAでの主砲獲得が多かった中

 阪神は、トレードやFAの活用がうまいチームだ。FA選手の数は26人の巨人の半分以下の12人だが、FA移籍選手としては史上最も活躍した金本知憲や新井貴浩をはじめ、多くの成功例を輩出している。現役の糸井嘉男もその1人だ。さらに外国人打者もバース、マートンをはじめ、錚々たる強打者を獲得してきた。

 ただそれは自前の強打者がなかなか育たないこともあって、移籍選手や助っ人選手に頼ってきたということでもある。

近本が真弓のように、梅野が打てる捕手化すれば

 そんな中で大山悠輔の成長は、久々に「生え抜きの強力打線」の誕生を予感させる。さらに2年目の近本は2年連続盗塁王に加えて打率もアップ。長打もあり、左右打席の違いはあるが往時の真弓明信のような「長打のある1番打者」になる可能性がある。

 筆者がこの2人とともに期待しているのは捕手の梅野隆太郎だ。12球団を見渡しても「打てる捕手」は、非常に少ない。そんな中で梅野は勝負強い打撃で5番を打つこともあるうえに足も速い。今季は右わき腹痛で戦線離脱したが、肩も強く守備も俊敏だ。

 大山、近本、梅野と20代の頼りになる生え抜きがいることが阪神の強みだろう。

サンズも出塁率が高く、飛躍の可能性

 外国人打者の獲得でも定評のある阪神だが、最近はやや小粒になってきた感がある。2016年のマウロ・ゴメス以降、20本を打つ外国人打者が出ていない。

 ジェリー・サンズは今季19本塁打だが61個の四球を選んでおり、打率は.257と低いが出塁率は.363。投手の球を見ることができているので2年目に飛躍する可能性がある。

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