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石川祐希「刺激をもらっている」代表エースも期待する19歳高橋藍の魅力はうますぎるサーブレシーブ
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2020/12/26 11:02
高橋を擁する日体大は全日本インカレでは決勝に進出したものの、早大に敗れて準優勝。日本代表では次世代エースとして期待が懸かる
1年生の高橋が持つ“エース”としての自覚
準々決勝では、筑波大学にセットカウント0-2と追い込まれながら、3セットを連取して逆転勝利。第3セットに「自分に(トスを)多くしてほしい」と伝えて流れを引き寄せた。
特に第5セットの後半は、高い打点から重量感のあるスパイクを次々に決め、接戦を制した。視察していた中垣内監督は、「これぐらいはやってもらわんと。代表選手なんだから」と満足げだった。
試合後、高橋は第5セットをこう振り返った。
「自分が本当に決めないといけない場面。もうほんとにエースとしては譲れないところだったので、あそこに一番高い集中力を持っていけたのかなと思います」
まだ1年生ながらハッキリと“エース”という言葉を発する。
今年は春から活動自粛が続き、日体大の練習に本格的に合流したのは8月と、スタートは大きく遅れたが、コート内での振る舞いに遠慮は感じられない。
準決勝では2つ学年が上の兄・塁がいる日本大学を下し決勝進出。だが決勝では、早稲田大学の4連覇を阻むことはできなかった。
「4年生を勝たせてあげられなかったことに悔いが残っています。この悔しさを忘れずに次につなげるしかない。もう同じことはできない。次は優勝しかない」と雪辱を誓った。
「石川選手を超える選手にならないと意味がない」
2020年、高橋の視界は大きく開けた。来年に延期された東京五輪を、しっかりと見据えている。
「今、そこに立つことができる位置にいるので、本当にそこに立つために、足りない部分を強化したい。大学生じゃなく、トップレベルの世界を見て、世界と戦える力をつけて、東京オリンピックではメンバーに入って戦いたい」
遠い憧れの存在だった石川に対する意識にも変化があった。紅白戦で対角を組むところまでたどり着いたからこそ、芽生えた思いがある。
「本当に石川選手の対角にふさわしい選手に、石川選手を超える選手にならないと意味がない。そのためにこれからどうやって技術をつけていくか。石川選手と同じことをやっていては、石川選手が先に行っている分、世界からは、自分が1個下に見られるというか、あとに見られてしまうと思うので、そうじゃなくて、やっぱり超えることに意味があると思います」
同じところを目指すのではなく、人とは違った独自の色を出すために、まずこだわりたいのはやはりサーブレシーブだ。
「スパイクを打つだけがエースではないので、サーブレシーブでも貢献できたり、海外の選手や石川選手の発想豊かなプレーを見て、そこにさらにプラスを加えていけたら」
“憧れの存在”は“超えなければいけない存在”に。その変化は、高橋藍の可能性、そして日本男子バレーの可能性を広げることにもつながる。