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<異例の転身>『ハイキュー!!』俳優がVリーガーに!羽富琉偉「芸能のお仕事もバレーボールも基礎が大事」
posted2020/12/24 11:02
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
Hiromi Ishii
芸能界とスポーツ界、2つの世界で活躍したいと願う若者がいる。
バレーボールのトップリーグ「V.LEAGUE」ディビジョン3、千葉ZELVA(ゼルバ)に所属する羽富琉偉(はとみ・るい)だ。
「芸能のお仕事とバレーボールには共通点もあります。どちらも基礎が大事だということ。そして信頼関係。バレーボールって対人パスをするときに、相手が取りやすいところに上げたり、相手を思いやって精度を高めていかなければいけないスポーツです。思いやりがあってこそ信頼関係が生まれるところは、芸能の仕事も同じだと思います」
21歳のときにモデルから芸能活動をスタートし、ジュノンスーパーボーイコンテスト、AMAアジアスーパーモデルコンテストなどに参加。2018年、ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」“はじまりの巨人”に伊達工業・黄金川貫至役として初めて映像出演を果たし、2019年の演劇「ハイキュー!!」“飛翔”では同じ黄金川貫至役で舞台に出演した。そんな彼がVリーガーとなったのにはどんな理由があったのか。
元代表・柴田恭平との出会い
茨城県に生まれた羽富がバレーボールを始めたのは境高校に入学してからだった。「練習が厳しくなさそうだったので」という理由である。ところが、その軽い気持ちで入部したバレーボール部に思わぬ出会いが待っていた。
全日本代表の経験もある柴田恭平が特別講師として学校を訪れたのだ。当時から身長が高かった羽富に柴田は「真面目にバレーボールに取り組んだほうがいいよ」と声をかけた。柴田から茨城県内の強豪校の監督を紹介され、県の選抜チームに参加することになる。そして高校3年生のときに国体に出場。男子の強豪・順天堂大のバレーボール部に進むこととなった。
「大学で1年間、みっちりやってみて、先輩たちのプレーも見て、レベルの違いを感じてしまったのが正直なところです。同時にモデルという仕事を知って、そちらに興味が向いてしまった。最初はバレーと両立しようと考えたのですが、どちらにも迷惑がかかるようになって2年生になると同時にバレー部は辞めさせてもらいました。いろいろな人が僕のために動いてくれて入部できたので、申し訳ないなという思いはあったんですが……」
大学のバレーボール部を辞めたものの、社会人チームの練習などには参加していたという羽富。その経験がその後、生きることになる。
2018年、演劇「ハイキュー!!」のオーディションを受けることになったのだ。