バレーボールPRESSBACK NUMBER
石川祐希「刺激をもらっている」代表エースも期待する19歳高橋藍の魅力はうますぎるサーブレシーブ
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2020/12/26 11:02
高橋を擁する日体大は全日本インカレでは決勝に進出したものの、早大に敗れて準優勝。日本代表では次世代エースとして期待が懸かる
「ディフェンスにうるさい」山本監督も高評価
今春進学した日体大は、JTサンダーズで長年リベロを務め、日本代表でもプレーした山本健之氏が監督を務めており、そこでさらに守備力に磨きをかけ、筋力アップもはかってきた。
元リベロだけに「当然ディフェンスにはうるさいよ」と言う山本監督も、高橋のサーブレシーブには太鼓判を押す。
「今までにもすごいスパイカーはたくさん出てきましたけど、藍はディフェンスをある程度できるという点で、今までの選手とはちょっとタイプが違うと思う。サーブレシーブの時に、懐を作るのがすごく上手。“取る”とか“すくう”じゃなくて、ボールにスッと手を合わせるというか、乗せるのがすごくうまいんですよ。それを他のアウトサイドヒッターの選手ができるかと言ったら……(他の選手は)違うんですよ」
日本代表に足りないピース
昨年10月に開催されたワールドカップで、日本は4位と躍進したが、東京五輪に向けて足りないピースの1つがアウトサイドの一角だった。昨年は、絶対的エースの石川を軸に、その対角には主に福澤や主将の柳田将洋(サントリーサンバーズ)が入った。五輪はベンチ入りメンバーが12人で、アウトサイドの枠は4人が目安。あと1人にはバランス的に、守備力に長けたアウトサイドが求められており、ワールドカップでは久原翼(パナソニックパンサーズ)や高野直哉(堺ブレイザーズ)がメンバー入りしていたが、アピールしきれなかった。
そこに、高橋藍が現れた。足りなかったピースを埋めるだけでなく、実績ある選手のポジションを脅かす存在にもなりうる。
ただ、海外勢との対戦経験がないことは不安材料だ。コロナ禍で東京五輪が延期になったために高橋にとってチャンスが広がったとも言えるが、逆に、コロナ禍で今年、海外チームとの対戦経験を積めなかったことはマイナスでもある。
「どれだけ世界に通用するのかやってみたい。壁にも当たりたい。そうやって成長したい」と高橋は海外との対戦を切望するが、現状、こればかりはどうすることもできない。
それでも、意識の持ち方だけは、常に高く高くと肝に銘じてきた。
「世界を見て、上を見て、大学では頭一つ抜けたぐらいの選手にならないといけない」
12月6日まで開催された全日本インカレでも、その意識を持ちながら戦った。今年は大学の大会もことごとく中止になったため、インカレは大学生として初めて臨む公式戦だったが、日体大の6年ぶりの決勝進出に大きく貢献した。