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國學院大學は万全の「山」対策。帝京大学が「育成力」で越えたい総合4位の壁。 

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箱根駅伝2021取材チーム

箱根駅伝2021取材チームhakone ekiden 2021

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photograph byNanae Suzuki/Yuki Suenaga

posted2020/12/24 11:00

國學院大學は万全の「山」対策。帝京大学が「育成力」で越えたい総合4位の壁。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki/Yuki Suenaga

前回、総合3位でフィニッシュした國學院大の10区・殿地(左)。前回2区の帝京大・星が流れを作れれば総合3位も見えてくる。

先輩・浦野の努力という遺産

 殿地の山への思いは相当である。高校時代から意識して起伏を走ってきたのも、箱根駅伝の山区間を走るためだ。

「僕はきつくても前へ行ける。粘りが持ち味。我慢して、我慢して、気合で上るタイプです」

 1年生だった殿地は、当時3年の浦野が5区で区間賞を取る姿を見て、あらためて山への憧れを強くした。それから2年間、上りで結果を残してきた先輩の背中を追い続けた。

 浦野が実践していた山仕様の体づくりをチームトレーナーから事細かに聞き、いま取り入れているという。前田監督は陰で努力する殿地の姿を知り、目を細めていた。

「遺産ですね。浦野が形をつくり、それを殿地が引き継ぐことで國學院大の伝統になる。選手たちが自らつくったシステムが残っていく。学生スポーツの醍醐味です。これがないと長続きはしません」

 前回の総合3位の快挙を一過性のものにしないことを誓う。11月の全日本大学駅伝は9位に沈んだものの、すでに逆襲のシナリオは頭にある。往路の力勝負でも負けるつもりはない。藤木宏太(3年)は前回1区で2位、中西大翔(2年)は4区で3位。ふたりともトラックレースで自己ベストを更新するなど、確実に力をつけた。

「上位校のエースたちと比べても、遜色ない力は持っています」

Bチームにいた4年生の秘密兵器

 往路候補となるほかの主力たちも、伊勢路で安定感ある走りを見せた。4年の臼井健太は2区で6位、3年生主将の木付琳も5区で6位。上位でたすきをつなぎ、山区間で勢いが衰えなければ、大きな目標の達成も見えてくる。

 中間層の底上げはお手の物だ。地道にトレーニングを積んできた9人目、10人目の選手たちが、最後の追い上げで昨季もぐんと伸びた。今季は学生三大駅伝未経験の4年生たちに期待をかけている。思わぬ名前が、いぶし銀の働きを見せるかもしれない。秘密兵器は、昨季まではずっとBチームにいた徳備大輔(4年)。指揮官は太鼓判を押す。

「本当にいいんですよ。復路ではカギになってくるかもしれません」

 シーズンの始め、2か年計画でチームの強化を進めていくことを表明したのも、4年生たちの奮起を促すため。

「あれが煽りになって、悔しさをパワーに変えてくれたと思います」

 昨季は出雲駅伝で初優勝を飾りながらも、全日本大学駅伝7位で前評判を大きく下げた。厳しい戦いを強いられると思われた箱根駅伝では、世間をあっと驚かせる総合3位に。11月から巻き返す手立ては知っている。

「うちはうちのやり方でいきます。越えられない相手はいないです。他大学と力の差はないと思っています。チャレンジしますよ」

 成功体験を持つ指揮官の言葉には、確かな自信がにじんでいた。

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