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女性アスリートの「卵子凍結」という選択 スノーボード竹内智香が賛否両論を覚悟して公表した理由 

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石井宏美

石井宏美Hiromi Ishii

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photograph byAsami Enomoto

posted2020/12/17 06:00

女性アスリートの「卵子凍結」という選択 スノーボード竹内智香が賛否両論を覚悟して公表した理由<Number Web> photograph by Asami Enomoto

今月で37歳、6度目のオリンピック出場となる2022年北京大会へ向けて再び歩み始めた竹内智香。その決断の背景には「卵子凍結」という選択があった

卵子凍結を選んだことは「支え」

 竹内自身もこうしたメリット、デメリットを十分に理解した上で卵子凍結に臨んだ。

「競技を続けることと、子どもを持つこと、もしかしたら両立は可能かもしれません。ただ、今の私にとって、子どもを産んでカムバックするというのは現実的な選択ではありませんでした。でも、卵子凍結を選択したことで可能性が残るという意味では、私の支えになっているのかなと思いますね」

 今回、竹内は2回でおよそ20個の卵子を凍結した。1回の卵子凍結に要した日数は10日間程度。より多くの卵子を十分に成熟させるため、排卵誘発剤を使って卵巣を刺激。途中経過を確認するため、超音波で卵胞の発育やホルモン値の推移をチェックしながら、卵巣内の卵胞に細い針を刺して採卵し、成熟した卵子を凍結させた。

 採卵による炎症や痛みで少しの間トレーニングができずにストレスが溜まったというが、「病院って自分の中ではいつも怪我をしていく場所で、大体、全治まで何カ月かかるとか、その間は滑ることができないという診断を受けて、絶望的な気分になる場所だったんです。ただ、今回は自分の未来を広げるためのもので、いつもワクワクしながら通院していました。例えば、卵子を育てる注射をした後は、“どのくらい育っているんだろう”とか」と笑顔を見せる。

なぜ「卵子凍結」を公表したのか

 今回、竹内は極めて個人的な情報である卵子凍結の公表に踏み切った。そこには“適齢期だから子どもを産まないと”というプレッシャーと向き合っている女性アスリートたちに、自分らしい生き方をしてもらいたいという願いと女性の人生の選択肢を増やすことができるという彼女の強いメッセージが込められていた。

 賛否両論があることも承知の上での公表だ。

 自身の選択を理解してくれる人がいる一方で、否定的に捉えられることも覚悟している。

【次ページ】 後悔の形が変わるかもしれない

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