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創価大学は嶋津の区間配置がポイント。東洋大学は西山の“相棒”がカギを握る。 

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箱根駅伝2021取材チーム

箱根駅伝2021取材チームhakone ekiden 2021

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photograph byNanae Suzuki

posted2020/12/18 11:00

創価大学は嶋津の区間配置がポイント。東洋大学は西山の“相棒”がカギを握る。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

前回、10区区間新記録で創価大に初のシード権をもたらした嶋津(左)。東洋大のエース西山は前回大会まで3年連続で1区を走っている。

「レベルの高い大会になる」

 ところが、前回の箱根駅伝では区間二桁順位が4区間も出てしまったことが後手を踏む要因になった。

「結局、前回は相澤と宮下が他のメンバーのミスをカバーする走りになってしまったんです。もっといい位置で彼らにたすきを渡せていれば、展開は変わっていたことでしょう。今季の全日本大学駅伝を見ても、明治大学、早稲田大学のようにミスのないチームが上位に入りました。東洋大としては、これまでと同様に3位以内を目標にしていくのであれば、ミスは許されません。

 現実問題として、全日本大学駅伝では起用できなかった駅伝経験者のピーキングを合わせていき、新戦力の土台を固めていかないと、トップ3を争うのも厳しいかもしれないと覚悟しています」

 箱根駅伝を実際に走る10人だけでなく、メンバー登録された16人全員の健康管理を含め、しっかりと1月2日、3日にピークを合わせていくことが例年以上に求められている。

「それほど、レベルの高い大会になりそうです」

西山&宮下の「二枚看板」

 もうひとつ、期待されるのはエースの働きだ。実績的に見て、3年連続で1区を担当し、1、2年生の時には連続で区間賞を獲得した西山和弥と、今回も5区の山上りを担当すると予想される宮下の「二枚看板」が東洋大の武器だ。

 ところが、西山は全日本大学駅伝の7区で区間11位と精彩を欠き、順位を下げてしまった。西山は前回の箱根駅伝でも得意としていたはずの1区で14位と出遅れており、このところ、駅伝で結果がついてこない状態が続いている。酒井監督は西山の復活に期待している。

「練習ではいい走りをしています。全日本大学駅伝では、想定していたよりも1分30秒ほど悪かったんですが、本来の力がうまく出し切れていませんでした。このところ、個人レースの方がのびのびと走れている印象があるので、駅伝でもいい精神状態で走れればいいんですがね。

 ただ、昨季よりだいぶ良くなっていますし、完全復活まではもう少しの段階です。後退ではなく、前進しているので、一回一回の練習を大切にして箱根駅伝に備えていきたいです」

 酒井監督は西山ひとりで責任を背負いこむ必要もないという。

「過去のエースには、いい仲間がいました。柏原には田中(貴章)、相澤には6区を走った今西駿介という心強い相棒がいました。西山には宮下がいますからね。ふたりのエースが刺激し合って、いいレースを作っていって欲しいです」

 東洋大には「その1秒をけずりだせ」というスローガンがある。1秒という時間の単位の前では、エースも、他の選手たちも平等な存在だ。

 鉄紺のたすきをつなぐ10人が「その1秒」にこだわったとき、東洋大らしい粘り強い走りが見られるに違いない。

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