第97回箱根駅伝出場校紹介BACK NUMBER
創価大学は嶋津の区間配置がポイント。東洋大学は西山の“相棒”がカギを握る。
posted2020/12/18 11:00
text by
箱根駅伝2021取材チームhakone ekiden 2021
photograph by
Nanae Suzuki
創価大学
第96回箱根駅伝(前回大会):9位
2年連続、4回目
“強い順”に並べるか、それとも復路に厚みを作れるか。
文=折山淑美
2019年2月に就任した榎木和貴監督が気になったのは、故障者の多さだった。
原因のひとつに、故障明けにポイント練習に参加して再度故障するというケースが多々あることが挙げられた。そこで故障からの復帰過程を見直そうと、選手としっかりコミュニケーションを取って状態を確認しながら、練習復帰のタイミングを慎重に判断するようにした。
さらに、クロスカントリーコースが寮のすぐ近くにあるという恵まれた環境を活用するとともに、月によって波があった月間走行距離の目標を、選手の土台作りも意図して「750km」と明確にした。
また、選手たちの箱根駅伝への意識が出場するところで止まっていると感じ、出場は前提であり、箱根駅伝でどう勝負するかを考えるように意識改革をした。チームとしての意識を各自が持てるようにするため、学年を縦割りにして競技力に関係なく5~6人のチームを作り、朝練習も含めてチーム単位で行動することにして選手間のつながりを深めた。
その効果を、昨季のエースだった米満怜(現コニカミノルタ)が当時、こう話していた。
「朝の集団走も昨季は全体で10人いるかいないかでチームじゃない感じだったが、今は全員が参加するようになって活気がある」
その成果が、前回の箱根駅伝9位という結果で現れた。
多くの選手が5000mの自己記録を更新
3年ぶり3回目の出場となった前回の箱根駅伝に向かう榎木監督の戦略は、「強い順に並べる」という単純なものだったという。1区・米満の区間賞でいい流れを作りながらも2区ムソニ・ムイル(現JR東日本)が6位まで落としたのは想定外だったが、4区・福田悠一(当時3年)の区間4位の走りで盛り返した。復路は7区に不安を感じさせたが、8区と9区が粘り強く走ったことが、10区・嶋津雄大(当時2年)の区間新記録の激走につながった。
そのチームから今回は、大黒柱だった米満とムイルというエースふたりが抜けた。
それでも榎木監督は「前回ミスをした区間が想定通りに走っていれば、3位争いに加わることができた」と、新チームになると同時に3位を目標に掲げた。さらに出雲駅伝初出場も決まった(7月に中止決定)ことも士気を高め、前回の箱根駅伝を経験した4年生5人がしっかりとチームを牽引。4月には多くの選手が記録会で5000mの自己記録を更新した。
夏合宿を経て秋も、日本人エースとして期待される福田が5000m13分54秒80、10000m28分38秒01と自己記録を出し、実業団チームのタイムトライアルに参加した石津佳晃(4年)と三上雄太(3年)、葛西潤(2年)が28分40秒切りを達成。ほかにも5000m 13分台に迫る選手が多数出てきた。
前回のシード権獲得の立役者・嶋津も、休学していた7、8月に走っていなかったにもかかわらず、9月に復帰すると10月17日の記録会では29分01秒84で走り、変わらぬ地力の高さを見せている。