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創価大学は嶋津の区間配置がポイント。東洋大学は西山の“相棒”がカギを握る。 

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箱根駅伝2021取材チーム

箱根駅伝2021取材チームhakone ekiden 2021

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photograph byNanae Suzuki

posted2020/12/18 11:00

創価大学は嶋津の区間配置がポイント。東洋大学は西山の“相棒”がカギを握る。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

前回、10区区間新記録で創価大に初のシード権をもたらした嶋津(左)。東洋大のエース西山は前回大会まで3年連続で1区を走っている。

2区ムルワで先頭争いを

 流れを作る往路は榎木監督も迷うと言うように、前回3区を走った原富慶季(4年)なども含めれば6人ほど候補がいる状況。その中でも榎木監督はフィリップ・ムルワ(2年)を高く評価している。

「ロードが強くて最初から突っ込めるタイプ。2区を走ればムイルより1分は良いはず。1区が先頭から20秒差で、前が日本人なら先頭争いはできると思う」

 11月の八王子ロングディスタンスでは自己記録を27分50秒43に伸ばしたことで、その手ごたえはさらに強くなっている。

 ポイントとなる山の区間も前回は控えに回った三上が、今季は30分台中盤だった10000mのタイムを非公認ながら28分台までレベルアップさせた。6区も主将の鈴木渓太(4年)が、59分台中盤くらいで走れるという目算がついている。

10区間すべてを意識した戦略

 榎木監督が言うように今回も“強い順”というのなら、1区は11月に10000mを28分19秒26まで伸ばして勝負強さも抜群な福田になるだろう。福田なら先頭から遅れたとしても、許容範囲の差でつなげる可能性が高い。

 だが、前回6区の葛西も1区を志願し、「自分が1区に行って福田さんを別の区間に回せたら、チームとしても一番いいかなと思う」と発言している。往路を強く意識していた前回とは違い、10区間すべてを意識した戦略を立てられそうなのが今季の創価大だ。

「1区は福田か葛西、石津の中で調子のいい選手を起用すると思うが、最後の争いまで絶対に残る選手を置きたいですね。出し惜しみはしたくないので基本的には強い順に並べるけど、葛西もスタミナはあって上りも下りも大丈夫だから、3区でも4区でもいい。

 3区は区間10位くらいで走れる選手を置く“つなぎの区間”にする方法もあるが、主力の原富と石津、嶋津を復路におけるようならさらに安心ですね。嶋津を復路のポイントになる7区か8区に置ければ、3位争いができるくらいの手ごたえを感じているということ。もし、嶋津が10区だったら、そこまでの厚みが作れなかったと判断してもらっていいです」

 4年生を中心に、多くの選手が「昨季の米満レベルにならなければいけない」という意識を持つようになった。それもあってチームは全体的にレベルアップした。「他大学のレベルも上がっていると思うが……」と榎木監督は言うが、前回とは違う手ごたえを感じながら監督として2回目の箱根駅伝に臨む。

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