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街を歩きまくる位置情報ゲームって痩せる? 「テクテクライフ」製作者いわく「ゲームというよりスポーツ」 

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茂野聡士

茂野聡士Satoshi Shigeno

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photograph bySatoshi Shigeno

posted2020/12/09 11:02

街を歩きまくる位置情報ゲームって痩せる? 「テクテクライフ」製作者いわく「ゲームというよりスポーツ」<Number Web> photograph by Satoshi Shigeno

ストイックな位置情報ゲーム「テクテクライフ」。街を歩く楽しさが生まれる

 このゲームには「ディスカバリー・コース」という、月額サブスクリプションがある。これに加入すると、ぬる範囲が広がったり、スマホのスリープ中でも予約ぬりができるようになる。つまりは街区の攻略がさらに便利になるのだが、いわゆる「ガチャ」のような不確定要素ではない点が、ユーザーファーストであるとも言える。

 そんなテクテクライフ、やっていて感じるのは、ゲームと現実世界が密接になっているということだ。山手線や東海道線などの各駅にチェックインできるスポットが用意されているし、自らの訪れた場所の思い出として「看板」を立てることもできる。少しアナログ感がある世界観なのだが、その辺り、製作者の立場としてどのように感じているのだろうか。

麻野:ちょっとかっこいい系の話をすると……。

田村:突然切り出しましたね(笑)。

麻野:生き物って、記憶と場所って密接に結びついているじゃないですか。危ない目に遭う、天敵がいた時にその場所に対して「危ない!」と脳の海馬が反応してすごく記憶に残ると聞きます。

 自分が歩くなどして、ある場所を訪れた際に、感情や記憶はすごくリンクしやすいものだと僕は思っているんです。30歳、40歳と歳を重ねていくと、「ここは10代の時にデートした」とか「20歳の時、ここで上司に叱られてすごく辛かった」とか「馬鹿騒ぎした友達と歌舞伎町で客引きに叱られた」とか(笑)、思い出が染み付きますよね。先ほどの地図のように、僕は東京都23区のほとんどに足を運びましたが、行き直すことで、思い出すんですよね。その当時のことを。

 その楽しさっていうのは、松尾芭蕉の『奥の細道』のような感じなのかもしれません。その場所に行って記憶をたどりながら、楽しんでいく……という。「看板」機能もその1つで、長年やっていると、5年後に再訪した時に「5年前は、こんな様子だったな」というのを写真とともに見られるのがいいかなと取り入れたんです。

田村:僕はユーザーサポートもやっているのですが、このゲームは年齢層が高めだなとは感じています。ある程度は想定していたのですが。それに加えて、やっぱり鉄道などで旅が好きな方、運動するのが好きな方、景色が好きな方に楽しんでもらっていますね。

麻野:鉄道に関して言えば数年前のデータで作っているので、スポットでもう廃線になっている駅があるんですよね。“外してくれ”っていう人が多いのかと思ったら、当時の写真が送られてきて「これ、すごくエモいんで残してほしい」って感謝の言葉をもらったこともあります(笑)。

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