ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
ハンセンの引き抜き、ブロディのボイコット、長州力の乱入…仁義なき「師走のタッグリーグ」事件簿
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph byAFLO
posted2020/12/05 17:01
MSGタッグリーグ戦を優勝したアントニオ猪木(左)、ハルク・ホーガン
試合とリーグ戦の優勝争いを楽しめる現在も
あまりにも負の事件が毎年のように続いたためか、この87年を最後に新日本は年末のタッグリーグ戦開催を取りやめ、4年後の91年『SGタッグリーグ戦』まで封印されることとなったのだ。
思えば、暮れのタッグリーグ戦で“事件”が続発していたのは、プロレスがテレビのゴールデンタイムで放映されていた時代。新日本・全日本が、それぞれテレビ朝日・日本テレビをバックに競い合い、高視聴率を獲得するために、選手引き抜きやサプライズといった仕掛けが必要だったのだろう。
90年代以降、現在まで続く両団体のタッグリーグ戦は、当時とずいぶん様相が変わり、純粋に試合とリーグ戦の優勝争いを楽しめるものとなっている。
それでも2016年の『WORLD TAG』での内藤哲也のパートナーや、今年のグレート-O-カーンのパートナーが「X」として開幕戦まで伏せられていたのは、84年の全日本『最強タッグ』における、馬場の「ミステリアスパートナー」を思い起こさせ、思わず心ときめいたオールドファンもきっといたはずだ。