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国士舘大学は6区で勝負を懸ける。日本体育大学は改革元年に虎視眈々と。 

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箱根駅伝2021取材チーム

箱根駅伝2021取材チームhakone ekiden 2021

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photograph byNanae Suzuki/Asami Enomoto

posted2020/12/11 11:00

国士舘大学は6区で勝負を懸ける。日本体育大学は改革元年に虎視眈々と。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki/Asami Enomoto

前回6区を走った国士大・曽根が勢いをもたらせるか(写真左)。日体大のエース池田は2区を志願している。

「服部翔大さんのようなエースに」

 柱となるのは、2区を志願する池田耀平(4年)。予選会は日本人3番手でフィニッシュし、全日本大学駅伝の2区では11人を抜いて、区間3位と強さを示した。そして、11月14日に開催された日体大記録会でも快走。10000m28分10秒57と好タイムを記録し、学生トップクラスの速さを持っていることも証明してみせた。ハイレベルな争いになる区間でも、他大学に負ける気はない。1時間7分台前半のタイムを目安に考え、区間内で日本人トップを狙う。

「見ている人たちから強いと言ってもらえるような走りを見せたい。(第89回大会で)優勝したときの服部翔大さん(現・日立物流)のようなエースになりたい。僕のところで流れをつくります。イメージはできています」

 玉城監督は2年生の藤本珠輝、4年生の岩室天輝にも大きな期待を懸けている。藤本は前回、コンディションが整わないなか、チーム事情で5区を担当。山上りで予想以上に苦しみ、区間16位に沈んだ。

「冷静に振り返ると、準備の段階から空回りしていたかもしれないです」

 今回は心を落ち着け、淡々と調整を進めている。持ち味のスピードが生きる往路の平地区間で勝負を挑むつもりだ。

「相手に競り勝ち、少しでも前でたすきを渡します。次の走者が気持ちよく走れるようにしたい。それができれば、前回の借りを返したと言えると思います」

個人的なリベンジのためではない

 最終学年の岩室は2年越しの思いを募らせる。2年時に期待されて3区を走ったが、往路のレベルの高さを痛感した。区間17位は苦い思い出。3年時は故障や体調不良でまともに走ることすらできなかった。前回の箱根駅伝は3区の付き添い。悔いばかりが残っている。

「走って悔しい気持ちを味わうのも財産。走らないと、それすらも得ることができません」

 今回は主要区間で貢献するために地道に努力を重ねてきた。2年前の経験を生かし、前半から勝負し、最後まで集団に食らいついていく覚悟だ。個人的なリベンジのためではない。チームの目標から逆算し、導き出した答えである。

「先頭の選手から1分差以上つけられるとダメです。区間順位は関係ない。後ろの選手のことを考えれば、大きく離されないことが大事」

 復路区間を担う中間層の選手たちも、それぞれの役割を確実に全うすることが結果につながると信じている。謙虚に足元を見つめて進んでいく玉城監督の教えが浸透しているのだろう。

「往路ではある程度の位置にとどまり、復路ではトップから10分差くらいのところに群れながらレースを進めたい。そのあたりがシード争いになってくると思います」(玉城監督)

 改革元年は欲張らない駅伝で、したたかに勝負していく。

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