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国士舘大学は6区で勝負を懸ける。日本体育大学は改革元年に虎視眈々と。 

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箱根駅伝2021取材チーム

箱根駅伝2021取材チームhakone ekiden 2021

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photograph byNanae Suzuki/Asami Enomoto

posted2020/12/11 11:00

国士舘大学は6区で勝負を懸ける。日本体育大学は改革元年に虎視眈々と。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki/Asami Enomoto

前回6区を走った国士大・曽根が勢いをもたらせるか(写真左)。日体大のエース池田は2区を志願している。

“復路の1区”で絶対に失敗したくない

 エースのつくった勢いを持続させる3区には、すでに準備万全で待つ3年生がいる。長谷川潤は前回も戸塚から平塚まで赤と青のたすきを運んでおり、コースもインプット済み。前回は区間19位。順位を2つ落とし、この1年間は同じ3区でリベンジするために多くの時間を費やしてきた。湘南の海岸沿いを走る終盤に失速しないために、徹底してスタミナを強化。

「予選会でも後半から上げていく走りができました。集団にくらいついて、とにかく粘ります。後半にどれだけ耐えられるかが勝負。いままでの自分のイメージを覆すくらいの爆発的な走りを見せたいです」

 タイム差が出やすい山対策も抜かりはない。山上りの新しい候補もいるようだが、添田監督が重要視するのは6区。ここで勝負を懸けると言っても過言ではない。2区の留学生が“表エース”ならば、山下り候補は“裏エース”。

「6区は“復路の1区”です。ここは絶対に失敗したくないです。国士舘大学にとっては、すごく重要になってきます」

 前回は復路チーム最高の区間9位で走り、孤軍奮闘した男がいるのだ。4年生の曽根雅文は山下りに絶対の自信を持ち、意欲を燃やしている。

「前回よりも力はついています。ゲームチェンジャーになりたい。チームを勢いづかせる走りをします」

全員がシード権の獲得を目標に

 区間5位以内は現実的な目標。何度もコースを見直し、どのポイントでどれだけタイムを縮めるべきかを頭に入れて、練習を積んでいる。

「最初の上りと残り3kmの平坦(緩やかな下り)は大事。そこで差がつく。強化すべきところは強化してきました」

 1年生から最上級生まで、誰もがシード権の獲得を目標に取り組んでいる。昨季のいま頃、「まずはたすきをつなぐこと」と口をそろえていたのが嘘のようである。

「これまでとは違います。選手それぞれの力が上がっています」

 母校の国士大を率いて5度目の箱根路を控え、自信あふれるチームの雰囲気に手応えを感じている。本大会までの準備も、最後の調整方法も、チームづくりも、少しずつノウハウを蓄積してきた。箱根駅伝前に近くで合宿を張るシード常連校から見て学ぶこともあれば、レース会場で他大学の監督とコーチが話している内容に聞き耳を立てることもあった。

「ささいな会話にヒントがあったりします」

 指揮官は物静かな雰囲気を漂わせるが、トップ10入りに向けて、どこまでもどん欲である。

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