第97回箱根駅伝出場校紹介BACK NUMBER

城西大学は三本柱の往路に自信アリ。神奈川大学は4年計画を実らせたい。

posted2020/12/10 11:01

 
城西大学は三本柱の往路に自信アリ。神奈川大学は4年計画を実らせたい。<Number Web> photograph by Asami Enomoto/Yuki Suenaga

城西大を牽引する主将の菊地(写真左)。神奈川大の主将・北﨑は前回2区を走った。

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箱根駅伝2021取材チーム

箱根駅伝2021取材チームhakone ekiden 2021

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今回で97回目を数える東京箱根間往復大学駅伝競走。新型コロナウイルス感染拡大の影響により異例のシーズンとなったが、2021年1月の箱根路では21チームが1年間の鍛錬の成果を競う。大混戦が予想されるなか、各チームの監督の戦略を紐解く。

城西大学

第97回箱根駅伝予選会:3位
第96回箱根駅伝(前回大会):不出場
2年ぶり、16回目

Head Coach of the TEAM:櫛部静二

菊地、砂岡、菅原の三本柱とタフな1年生。「過去最高6位を超えたい」。

文=杉園昌之

 箱根駅伝の前哨戦ともいわれる全日本大学駅伝では16位に沈んだが、これだけで城西大学の実力を判断すると見誤ってしまう。指揮官として10度目の大舞台に挑む櫛部静二監督は、タイトなスケジュールで臨んだ11月1日の大会結果を気にも留めていなかった。

「箱根と重ねることはしていません」

 今秋、照準を合わせていたのは、10月17日の箱根駅伝予選会。前回は暑さに対応できなかったこともあり、まさかの15位で予選落ち。今回は入念に準備を重ねてきた。練習からハーフマラソンの距離(21.0975km)を想定し、例年以上に走り込んだのもそのため。効果はてきめんだった。選手たちはレース後半の15km以降から強さを発揮し、見事に3位で通過。余裕を持って、2年ぶりの出場権をつかんだ。

 櫛部監督は「過信は禁物」と前置きしながら、箱根駅伝本大会に向けて自信をのぞかせる。

「全日本だけではなく、他大学の1年を通じたレースの結果を踏まえた上で判断すれば、うちは上位校ともそれほど差がないと思います。いまの戦力がばっちりかみ合えば、最低でも10位以内はいけます。目指すのは、期待も込めて過去最高の順位。6位を超えたいです」

櫛部監督「序盤にいい流れをつくるのが鉄則」

 キーマンとなるのは、厚い信頼を寄せる三本柱。箱根駅伝予選会で菊地駿弥(4年)と砂岡拓磨(3年)はともに1時間1分台の好記録をマークし、菅原伊織(4年)も1時間2分06秒で個人上位に食い込んだ。伊勢路では砂岡が1区、菊地が2区でともに区間2位。特に主将を務める菊地の勢いは、とどまるところを知らない。11月21日に開催された八王子ロングディスタンスの10000mで28分08秒25の自己ベストを叩き出し、周囲の度肝を抜いた。あらためて、学生トップクラスの実力を証明してみせた。

「上の3人は、どの大学のエースとも張り合えると思います。どの区間に配置するかは分かりませんが、前半に持ってくるのは間違いないです。駅伝は流れが大事。序盤にいい流れをつくるのが鉄則です。1区の出遅れは後半まで響きますから」

 選手時代に第69回大会(1993年)の1区で区間賞を獲得し、早稲田大学の総合優勝に貢献した櫛部監督の口から出る言葉には重みがある。

 3年ぶりとなるシード権の獲得が簡単でないことは理解しているが、それ以上に成長著しい1年生たちの可能性を信じているのだ。山本唯翔、山本樹、野村颯斗のトリオは緊迫する予選会で自己ベストを更新し、1時間3分台でまとめた。さらにレース本番に強い山中秀真も戦力に加わってきそう。ルーキーたちに共通するのがケガをしないこと。夏合宿でも離脱者は、ほとんどいなかった。コツコツと練習を積めるからこそ、日に日に強くなっていく。

「わずか1か月でも変わってくると思います。未知数の部分はありますが、まだまだ伸びます」

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