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「日本のステフィン・カリー」と紹介された富永啓生、全米最強の大学Lから“高確率3ポイント”でNBAへ?
text by
永塚和志Kaz Nagatsuka
photograph byRanger College/Tommy Wells , UNL Athletics
posted2020/12/06 11:01
レンジャー短大でプレーする富永。1年目で31試合に出場し、1試合平均16.8得点、3Pシュート成功率47.9%と活躍
「1年生としては最高の年を送った」
「本当にうれしいですし、それだけ期待されているということなので、その期待に応えられるように頑張っていきたいなと思います」(富永)
余談ながら、ホイバーグ氏自身は来日したことはないそうだが、弟が以前、富永の出身地でもある名古屋で英語の先生をしていたそうだ。
ホイバーグ氏とアブデルマッセイ氏が感心するのは、富永のシューティングに代表される技量だけではない。コート上での姿勢に対する評価も高い。渡米前は、例えばウインターカップで超のつく強豪校の福岡第一相手に、一歩も引かずにシュートを打ち、ゴールにアタックし続けた。そんな恐れ知らずのところは、海を渡ってからも変わっていない。
アブデルマッセイ氏は昨シーズンの富永を見ていて「ただの一度たりとも気持ちが滅入ってしまうようなことがなく、1年生としては最高の年を送った」と言う。
「日本のステフィン・カリー」と紹介
「彼はどんな相手でも、どんなチャレンジが前に立ちはだかろうとも絶対に引かないし、そういう選手を見つけることはなかなかできない。ネブラスカへ来ることで環境は完全に変わるけれども、まったく不安はない」(アブデルマッセイ氏)
しかし、気が早い我々は“その先”を気にしてしまう。上にも書いたが、富永自身が見据えるNBA入りの可能性だ。
編入が正式に決まった際、ホイバーグ氏は富永を「日本のステフィン・カリー」と声明で紹介している。まだ彼の存在を知らない多くの人への説明としてはそんな惹句のような言葉がてきめんだからだろう。
富永がNBAへ到達できるかどうかは、当然のことながらこれからの成長と活躍次第だ。
ホイバーグ氏は“フロアスペーサー”という言葉を用いて、富永を表現した。例えばレブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)のように体躯やスピードを生かしてドライブインしてくる選手がいると相手ディフェンスはその選手を守ろうと密集してしまいがちだが、外に高確率でシュートを決める選手がいればそれも容易にはできなくなる。富永はフロアスペーサーとして、可能性を広げることができるというのだ。