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復権を期す名門、順天堂大学と中央大学。スーパールーキーの“花の2区”抜擢はあるか。 

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箱根駅伝2021取材チーム

箱根駅伝2021取材チームhakone ekiden 2021

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posted2020/12/09 11:01

復権を期す名門、順天堂大学と中央大学。スーパールーキーの“花の2区”抜擢はあるか。<Number Web> photograph by JMPA

箱根駅伝予選会で順大・三浦は日本人トップ通過の快走(左)。吉居も中大の2位通過に大きく貢献した。

中央大学

第97回箱根駅伝予選会:2位
第96回箱根駅伝(前回大会):総合12位
4年連続、94回目

Head Coach of the TEAM:藤原正和

長らく求めていた「エース」誕生の予感に満ちている。

文=生島淳

 箱根駅伝の総合優勝は、史上最多の14回。中央大学は、正真正銘の名門だ。

 しかしながら、1987年に日本テレビ系列でテレビ中継が始まってから総合優勝を達成したのは、1996年(第72回大会)の一度だけ。長らく安定的な力を発揮してきたのが中大の特徴だったが、2013年(第89回大会)にシード権を失ってから苦戦が続き、8年連続でシード権に手が届いていない。

 名門はあえいだ。

 母校の復活を託され、2016年に中大の監督に就任したのがOBの藤原正和氏だ。藤原監督は中大時代、1年生から5区の山上りを担当し、いきなり区間賞。3年連続で5区を担当したのち、4年生ではエース区間である「花の2区」を走って、こちらも区間賞を獲得。

 花形区間で活躍した実力はマラソンでも証明され、卒業間際には箱根駅伝を走った後にびわ湖毎日マラソンで初マラソンに挑戦、2時間8分12秒の国内学生新記録をマークした(この記録は未だに破られていない)。

 中大を卒業してからは、2013年と2015年の世界選手権マラソン日本代表となり、世界と戦った。2016年3月に現役を引退すると、すぐに中大の監督に就任、名門の立て直しを図った。

 ところが――。

 2016年の10月に行われた箱根駅伝予選会(第93回大会)では、10位の日本大学にわずか44秒及ばず、87回続いた連続出場の記録が途切れた。これが新しい中大のスタートだった。翌年から予選会は突破するものの、シード権にはなかなか手が届かない。

藤原監督の“自信”の理由

 その中大が今回は、本格的な復活を遂げそうだ。藤原監督は自信をのぞかせる。

「今回は、私が声をかけた選手たちが4学年揃いました。大学に戻ったころは、練習の質、量も足りていませんでしたし、生活態度も競技者としては甘かったように思います。時間をかけて戦えるチームに変身し、今回は上位校と戦える強さが備わってきました」

 今年度の初めに主将の池田勘汰、駅伝主将の畝拓夢ら4年生が立てた目標は「箱根駅伝総合3位」。決して夢ではないと、藤原監督は語る。

「もちろん、全日本大学駅伝で上位に入った駒澤大学、東海大学、明治大学、青山学院大学が強いのは間違いありませんが、ウチも仕掛けが成功すれば、3強に割って入る実力がついているはずです」

 藤原監督の自信の源になっているのは、中大が長らく求めていた「エース」誕生の予感に満ちているからだ。

 吉居大和、1年生。

 仙台育英高出身の吉居は、入学前の3月8日に中大記録会10000mに出場し、28分35秒65で、2位の大森太楽(当時3年)にわずか0秒01差で先着した。入学が決まっていたとはいえ、高校生が中大の先輩たちに勝ってしまったのだ。吉居はその時のレースをこう振り返る。

【次ページ】 吉居にとって経験値を上げる大会

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