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コントレイルvsデアリングの夢対決の陰で…無敗の“超良血牝馬”レイパパレはどこまで強い?
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byAFLO
posted2020/11/10 17:02
20年1月の新馬戦で楽勝したレイパパレ。デアリングタクトともう1頭の“無敗女王”の対決が見られるだろうか
「マツクニ血統」のレイパパレを松田国英の弟子が
レイパパレは2017年1月28日、北海道安平町のノーザンファームで生まれた。父ディープインパクト、母シェルズレイ、母の父クロフネ。馬主は、ノーザンファーム生産馬を多く募集馬にしているキャロットファームである。
母シェルズレイは、桜花賞5着、オークス7着、秋華賞5着と牝馬GI路線で存在感を見せ、重賞で2度2着となったほか、通算で3勝をマークするなどまずまずの成績をおさめた。全弟のブラックシェル(レイパパレの叔父)も、NHKマイルカップ2着、ダービー3着と活躍した。
シェルズレイは繁殖牝馬として非常に優秀で、初仔のククイナッツレイから8番仔のレイパパレまで、1頭を除いてすべてが勝ち鞍を挙げている。もっかのところ、出世頭は4番仔で、レイパパレの全兄にあたるシャイニングレイだ。GII時代のホープフルステークスと、CBC賞と、重賞を2勝している。
シェルズレイもクロフネも、それからシェルズレイの母オイスターチケットも、来春定年で引退する伯楽、松田国英調教師が管理した馬だ。レイパパレを管理する高野友和調教師は、松田厩舎で厩務員、調教厩務員、そして調教助手時代を過ごしたのち、調教師として独立した。つまり、「マツクニ血統」の馬を、弟子が管理しているわけだ。前出のシャイニングレイも高野調教師の管理馬だった。
デリケートな馬は大事に使われて
レイパパレは大原ステークスを勝ったときの馬体重が424kgという小柄な馬だ。1歳だった18年の9月、ノーザンファーム空港に移動して馴致、育成を始めたときから素質は感じさせたものの成長はゆっくりで、ときおり「スクミ」と呼ばれる、体がこわばって動かなくなる症状を起こすなど、デリケートなところがあった。
それもあってデビューが3歳の1月と遅くなったのだが、京都芝1600mの新馬戦では楽に2番手につけ、直線で鞍上の川田将雅が仕掛けると鋭く反応し、2着を2馬身突き放した。
さらに成長を促すため、約5カ月の間隔をあけて使った阪神芝1600mの2戦目では、中団から直線で馬群を割って抜け出した。
ひと月半後、新潟芝1800mの3戦目では、序盤やや行きたがるところを見せながら3番手につけ、直線でまたも馬の間の狭いところを突き、2着を2馬身突き放した。