箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
厚底は“新兵器”ではなくなった? 全日本大学駅伝、駒澤・田澤と東海・名取の足元事情と5校が大会新の“異常事態”
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2020/11/05 17:03
8区で長く並走を続けた駒沢大の田澤廉(左)と東海大の名取燎太。2人の名ランナーの足元にはナイキのマークが
駒澤大・田澤と東海大・名取の名勝負の足元に
圧勝したのはナイキだった。
まず走った選手の多くがナイキの「ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト%」あるいは「ナイキ ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%」を履いていた。レース後、使用率は90%を超えていたと聞く。
単に人数が多いだけではない。区間賞を出した選手は8区間全員ナイキ製のシューズを使用していたのだ。
そのうち、1区で鮮烈な走りとともに三大駅伝デビューを飾った三浦龍司(順天堂大学)をはじめ、区間新記録を出した4選手は皆、アルファフライ ネクスト%を履いていた。
最後の8区では優勝した駒澤大の田澤廉が東海大の名取燎太と競り合いを続けたが、田澤はアルファフライ ネクスト%、名取はヴェイパーフライ ネクスト%を着用。種類は違えど、ナイキ製品で競う両者の姿も今回のレースでのナイキの存在感を示していた。
優勝した駒澤大を筆頭に、5位の早稲田大学までの計5校が大会記録を更新したことにもナイキのシューズの大きな寄与があったのは間違いない。
この流れは箱根駅伝の先へ
この数年、ナイキの厚底シューズが長距離界を席巻するのを受け、他社も新たな製品を出すなどして巻き返しを図ってきた。
だが、とりわけタイムの向上という結果がもたらされている点でさらに信頼を得たナイキから、シェアを奪い返すのは容易ではないだろう。
ナイキのニーズが他を圧倒する流れは新春の箱根駅伝にまで続いていくだろうし、その後も続く可能性もある。
他のメーカーはそれをとどめるに、まずは選手に自社製品を履いてもらうところから始める必要がある。