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室伏広治伝説を旧友・照英が語る「やったことがないやり投げに出て、いきなり国体2位ですからね…」
posted2020/11/11 11:02
text by
谷川良介Ryosuke Tanikawa
photograph by
Shoei
――室伏広治長官との出会いは?
中学3年、全中(全日本中学校陸上競技選手権大会)の合宿に呼んでもらったときですね。そこにコウジがいました。最初は「あの鉄人(室伏重信)の息子?」ぐらいの感覚。当時はまだヒョロヒョロで、跳躍の選手かな?と思うほど細かったですが、ダッシュやジャンプ力がとんでもなくて。
体が大きくなったのは高校に入ったあたりぐらいからでしょうか。高校3年になると『北斗の拳』のケンシロウみたいになっていましたから。そこから彼はハンマー投、私はやり投と競技が分かれていったので接点は徐々に減っていきましたけど、合宿などで一緒になることが多かったので仲は良かったです。
――照英さんもやり投でご活躍されていましたが、中学時代はお二人とも投てきに限らず、さまざまな競技で活躍されていたんですね。
中学時代は専門種目がなく、高校生になるにつれて競技を絞っていきます。私は「3種競技A」という100m・走高跳・砲丸投で全中に出たんですけど、高校入学後から投てき競技に絞ったタイプ。コウジの場合は高校生になってもリレーの選手に選ばれていましたよ。
彼は千葉の成田高校に進み、ハンマー投ですごい記録を出しながらもインターハイで走ってました。100mは10秒台と言っていた気がします。10秒半ばのタイムを出せばインターハイの決勝に残れる時代に、ですよ。
走り方も跳び方も上手なわけじゃない
――昔から何をやらせてもすごかったんですね。
30mダッシュや立ち三段跳も一番でしたし、ウェイトトレーニングでもすごいパワーでした。本当に誰にも負けない。逆に言えば自分たちは誰も抜けなかった。走り方も跳び方も全部が上手なわけじゃないんですが、すごい数字を叩き出しちゃう。自分たちは一体何のためにトレーニングしているのか、という思いはずっと抱いていました。大学に入った時はすでに別格の存在でしたから。