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永里優季「お兄ちゃんが“代表の頃、まるで別人だった”と」 なでしこ辞退後に言われたこと
posted2020/11/05 11:01
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
AFLO
男性の中でプレーする女子サッカー選手――人々の価値観をアップデートするような行動を取っている永里。男性とともにサッカーをプレーするために、どのようなことを考え、何を積み上げてきたのか? 全3回(#1、#3はこちら)にわたるインタビューで解き明かしていく。
――アメリカで生活するようになって生き方、考え方が変わったということでしたが、昨年の女子W杯フランス大会におけるアメリカ代表のパフォーマンスや現地の雰囲気、状況にも刺激を受けたそうですね。
「サッカー以外の部分がこんなにもサッカーのパフォーマンスに影響するんだなって、初めて感じた大会でした。アメリカ代表からは、なんのために戦うのか、W杯を通してどうしたいのか、そんなメッセージが伝わってきたし、こうじゃなかったら世界の舞台で勝つのは難しいんだなって。アメリカと他の代表の違いが如実に表れていた。
サッカーの中身云々より、サッカーの外側の部分で勝負が付いていたなって感じたし、そこを変えていかないといけないという意味で、たくさんの刺激をもらいました。特に(キャプテンのミーガン・)ラピノーからはインスピレーションを受けたし、同じ方法じゃなくても、違う方法で自分の考えを表現していけないかなっていうことは、ずっと考えていました」
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――だから、男子サッカーへの参加という選択に思いを込めてアクションを起こしたと。
「はい。そうですね」
男女格差、LGBT、黒人差別…境界線をなくしていきたい
――今回の男子サッカーへの挑戦においては、女性アスリートや女子サッカーの地位向上といったことも意識されていますか?
「認められたいとか、地位を上げたいとか、自分の中には正直ないんですよ。どちらかというと、受け取る側の問題だったりするじゃないですか。それより、男女格差だったり、ジェンダー、LGBT、黒人差別、宗教もそうですけど、境界線をなくしていきたいという考えがあって、そうしたものをすべて取っ払った世界を実現したいなって。越境していく。自分が今いる枠を越えて違う枠に行くことによって、その枠が取っ払われるじゃないですか。だから、こうしたことを続けていくことが、何かひとつメッセージになるんじゃないかっていう思いはありました」