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「若貴ブーム」時代の相撲ファンは再び相撲に戻ってくるか? ドハマりして2年で相撲映画を完成させたTVマン

posted2020/10/30 17:04

 
「若貴ブーム」時代の相撲ファンは再び相撲に戻ってくるか? ドハマりして2年で相撲映画を完成させたTVマン<Number Web> photograph by KYODO

香港島のビル群をバックに笑顔の貴ノ花(右)と若花田(大相撲香港場所で、1993年撮影)

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西尾克洋

西尾克洋Katsuhiro Nishio

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KYODO

「相撲? うーん、若貴の頃は観てたんだけどねぇ」

 30代後半から40代の方に今大相撲を観ているかと聞くと、こんな答えが返ってくることが多い。今はどうかと聞くと横綱の名前も怪しいレベルか、良くてたまにテレビで観るという回答であることが殆どだ。

 あの頃の相撲ファンは、一体どこに行ってしまったのか?

 そしてなぜ人は、相撲から離れてしまったのか?

 思えば90年代というのは、プロスポーツにとって激動の時代だ。

 国内から海外へ。そして、多様な競技を楽しむ時代へと変わった。

 あの異常な若貴ブームを経験していても、人は相撲から離れてしまう。むしろ熱量が高すぎたからこそ、別の熱量の高さを求めて彷徨っていったのだろう。大相撲ファンというよりは、若貴とそれを取り巻くライバル力士たちの人間模様を含めて、あれは地に足の着いた人気というよりはブームだったのである。

「人は20歳を超えると、相撲に戻る?」

 一方でもう一つの説として「人は20歳を超えると、相撲に戻る」というものがある。

 相撲のトークライブなどで知り合ったファンに聞くと、多くの人は相撲の原体験を幼少期に持っている。その頃は親や祖父母と共に楽しく観ているのだが、同じ温度感を保ち続けて相撲少年・相撲少女になる事例は稀だ。

 興味の対象が日々変化し、野球やサッカーのように自らプレーする競技やカッコよく映る競技の方に目移りするのは致し方ないことだ。力士の出で立ちや風習などに対してポジティブな印象を持ち続けにくいというのは相撲独特の壁と言えるのかもしれない。

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