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クラファン、ふるさと納税にリモートハイタッチ! コロナ禍でもフェンシングは前へ!
 

text by

太田雄貴

太田雄貴Yuki Ota

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photograph byJapan Fencing Federation

posted2020/11/01 17:00

クラファン、ふるさと納税にリモートハイタッチ! コロナ禍でもフェンシングは前へ!<Number Web> photograph by Japan Fencing Federation

全日本選手権のオープニングアクトではダンスを取り入れていた

山積する問題の筆頭――それは「財政」

 それにしても印象深いのは、NTT西日本さんが私たち協会にお声がけくださったのは、コロナ禍に突入して間もない4月だった、ということです。

 なぜ、あんなに先の見えない時期に、私たちのことを選んでいただけたのか。

 それはむしろコロナ禍に入る前から日本フェンシング協会が進めてきたさまざまな改革、そしてスポーツ界や社会へ発してきたメッセージに、価値を見出してくださったからなのだと思います。

 やはり、いつだって状況を「前に進める」しかない。そのことが、次の実りを生む。大会を終えて、私は再認識しています。

 ただ、問題がないわけではありません。

 山積する問題の筆頭――それは「財政」です。

 企業の皆さんがコロナ禍で模索をつづけていらっしゃるように、協会も模索をつづけているところです。

 会長に就任してから3年、協会の運営費については、補助金頼みの体質を少しでも改善しようと、外部のスポンサーとのつながりを強化してきました。

 ところが今は、当然ながらスポンサー企業の皆さんにとっても苦しい時期であり、思うように協賛いただけないケースも相次いでいます。また全日本に関しては、前述したように出場人数を絞らざるを得なかったため、出場費の収入も激減します。観客についても、リアルチケットを販売することができません。

クラウドファンディングに取り組む

 そんな厳しい状況で、全日本選手権をマネタイズし、開催するにはどうすればよいか。

 結論として私たちが取り組んだ方法のひとつが、クラウドファンディングでした。

 当初の目標金額は500万円でしたが、おかげさまで最終的には855.5万円に到達。全日本と名がついても賞金がない競技も多い中、私たちは賞金を昨年と同等の規模で確保し、安定した形で大会を運営することができました。

 また、スポンサー企業さんのアクティベーション(権利活用)にかんしても、新たな道を考えていきました。たとえば出前館さんとのキャンペーンにおいては、試合を見ながらデリバリーされた料理を楽しんでもらえるように、初回注文の方には500円クーポンを配布したり、サイン入りも含めた協会オリジナルTシャツが当たる企画。前にも記述したドラクエウォークとのコラボで、男子エペの選手入場曲はゾーマの曲にするなど、大会の雰囲気を壊すことなく、企業さんの持つ価値と共存することができました。

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