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「クルマに追突され、背骨3カ所骨折…」大事故にあった“自転車フリーク”が「自室」で10万km走破した話

posted2020/11/04 20:00

 
「クルマに追突され、背骨3カ所骨折…」大事故にあった“自転車フリーク”が「自室」で10万km走破した話<Number Web> photograph by Tsutomu Iwabuchi

自転車のオンラインプラットフォーム「Zwift」で、仮想空間上の仲間とチャットを楽しみながら練習を積む岩渕努さん

text by

山本健一

山本健一Kenichi Yamamoto

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Tsutomu Iwabuchi

 発売中のNumberDo「RUNの新常識」では、ブックインブックで「自転車」を特集している。コロナ禍で世界的に通勤に自転車を使う人が多くなるなど、サイクリングが「密」を避ける移動手段として大きなムーブメントになっているためだ。

 そしてランニング同様に多くのレースが中止になるなか、サイクリストの間で話題なのがオンライン上でゲームのように自転車のトレーニングができる「Zwift(ズイフト)」だ。愛車とそれに装着するインドアトレーナー、そしてスマホなどをリンクさせて、室内で練習はもちろん、バーチャルレースにも参加できるというプラットフォームだ。

 初心者のズイフトの始め方などは誌面で紹介をしたが、世界中で多くのサイクリストがバーチャルライドにハマっている(そんな人たちを“ズイフター”と呼ぶ)。そして日本で一番のズイフターと呼ばれ、仮想世界で圧倒的な走行距離と存在感を誇るのが仙台在住の岩渕努さんだ。今年、世界で12番目にズイフト内走行10万kmを達成した岩渕さんに、バーチャルライドの魅力を聞いた。

 

21歳トライアスロンとの出会い

 小学生の頃から水泳に親しんできた岩渕さんが「ライフワーク」と呼ぶトライアスロンと出会ったのは、高専を卒業した21歳のときのことだ。

「僕が初めて就職した地は岩手県宮古市だったんですが、宮古市はトライアスロンが盛んなんです。そこで地元のクラブチームに誘われて、トライアスロン・リレーの水泳のパートに出場したんです。学生時代に『ウォーターボーイズ』が流行っていて、男子シンクロナイズドスイミング部を立ち上げ、運良く竹中直人さんが司会を務めるフジテレビ主催の“ウォーターボーイズ選手権”に出場することができた。その僕が宮古に行くというのを誰かが知っていて、“来たら即、声をかけよう”と狙われていたらしくて」

 このリレー出場が、フルタイムで仕事を持つ岩渕さんのその後のライフスタイルに大きな影響を与える。

「水泳は最初に終わる競技(トライアスロンの競技順は水泳→自転車→ラン)。レースの応援をしていると自分よりもずっと年上のおじさんたちが、汗を流しながらキラキラ目を輝かせてゴールを目指し、讃えあっているのを見て“すごくかっこいい”と思って。それからトライアスロンを本格的に始めました。

 僕の想像では一生懸命漕げば速いだろうと思っていました。でも、いざ走ると、ふた回りも年齢が違うおじさんたちにまったくついていけなくて……悔しくて、こんなはずじゃない!と(笑)」。

 ただ、地元の仲間と練習を積むことで徐々に力がついてくるのがわかったという。

「2007年には出場するレースで入賞に絡めるようになってきました。完走を目的とした生涯スポーツとして始めたわりには成績に結びついたので、積み重ねていることの方向性は間違ってはいないんだろうと思いました」

 そして09年以降は国体の岩手県の代表選手にもなるなど、順調にトライアスリートとして実績を積んでいき、日本選手権にも出場。国内のレースで優勝も経験した。

 しかし、2017年に人生を狂わせる出来事が起こる。

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