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“ガンバの元祖・天才”51歳礒貝洋光は19歳久保建英をどう見る?「プレーよりもスゴイのは…」

posted2020/10/10 17:02

 
“ガンバの元祖・天才”51歳礒貝洋光は19歳久保建英をどう見る?「プレーよりもスゴイのは…」<Number Web> photograph by J.LEAGUE

ガンバ大阪の中心選手として活躍した礒貝洋光。日本サッカーの天才たちをどう見ているのか?

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栗原正夫

栗原正夫Masao Kurihara

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J.LEAGUE

 93年のJリーグ開幕当時、ガンバ大阪の中心選手として、長髪をなびかせ華麗なプレーでファンを魅了した“天才”礒貝洋光。そもそも礒貝がサッカーにハマったきっかけとは? そして日本サッカーの進化をどう見ているのか? 東京都内で本人をインタビュー取材した。(全3回の3回目/#1#2へ)

 1978年、熊本でサッカーを始めたばかりの9歳の礒貝洋光にとって、同年にアルゼンチンで開催されたW杯決勝の様子は、最初に見た海外サッカーの記憶として、いまも脳裏に焼き付いている。

 大量の紙吹雪でピッチが覆われているなか、アルゼンチンのマリオ・ケンペスがゴール前で足裏で突いたシュートがコロコロとオランダゴールに転がっていく。1-1で延長に入った105分、決勝弾を決めたケンペスが長髪を振り乱し、両手を大きく広げて走っているシーン、サッカーファンなら1度はハイライト映像などで見たことがあるだろう。

「たぶんNHKの中継だったと思うけど、子どもながらになんで紙吹雪の上で試合しているんだろう、スパイク滑らないの?って思ったり(笑)。それと、ケンペスの髪型を見て、こんな髪の長いサッカー選手がいるんだって驚いて。で、翌年には日本開催のワールドユースでずんぐりむっくりのマラドーナが出てきて、ラモン・ディアスとのコンビが圧倒的でしょ。もう世界はどうなっているんだって感じだったよね」

 画面のなかには、サッカー少年を虜にする魅力が詰まっていたのだろう。

好きだったのはクライフとプラティニ

「いつかはオレもW杯に出て……」、そんな思いになったかはわからない。ただ、世界中に広がるサッカーに興味を抱いた礒貝は、ビデオで名選手のプレーを見ながら帝京高、東海大と名門校に進みメキメキと力をつけていった。

「ペレも見たけど、あのフィジカルは真似できない。好きだったのはオランダのクライフとかフランスのプラティニ。クライフのビデオを見て、フェイントとか緩急の使い方を真似したり、高1のときにトヨタカップで来日したプラティニの鬼のようなスルーパスにも刺激を受けた。それで大学時代に休学して、スペインのバルセロナにまで行った。カンプ・ノウにカメラマンとして潜り込んで……もうクライフは監督になっていたけど、試合の1つひとつのプレーにどういうリアクションをするかに興味があって、ずっと見ていた。クライフやプラティニが特別だったというか、サッカーが美しかったというかキレイで、そういうのに憧れていたのかも」

ライカールトのドレッドヘアを真似したが……

 まだ日本にJリーグがなく、海外サッカーの情報が乏しかった時代。礒貝は、必死に情報をかき集め、なんとかそこに近づこうと密かに思っていたのだろうか。

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