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エゴイスト回帰&主将卒業の小林悠、悪くないだろう 「自分が決めて」フロンターレに勝利を
posted2020/10/12 20:00
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph by
Getty Images
何を今さら、と思うなかれ。
首位を独走する川崎フロンターレの中で、ちょっと面白いストライカーがいる。
小林悠である。
第21節・ベガルタ仙台戦では、鮮やかな抜け出しからゴールネットを揺らす決勝ゴールを記録。チームトップとなる12得点目を挙げ、リーグ9連勝を飾った。
「今日も本当に苦しい試合で、簡単に勝たせてくれないとは思ってました。チームみんなで結果にこだわってやれたし、やっぱり勝つことが全てだと思う。勝てたことには満足してます」
準決勝で敗退したルヴァン・ショックを考えれば、直後の仙台戦が難しい試合になるのは百も承知だったのだろう。
小林自身、普段ならば試合後に映像を見直す作業をするというが、「早く寝ようと思って見ないで寝ました。正直、後悔とか反省はありますが、それを言っても仕方ないぐらいの日程なので」と切り替えて、中2日のこの試合に備えたほどだ。そんな一戦を勝ち切った結果は、価値のあるものと胸を張っている。
「もっと点が取れたかなと思います」
ただ言葉とは裏腹に、試合後の表情は厳しいままだった。
理由はシンプルで、多くの決定機が巡ってきながらも、決め切れなかった自分がいたからである。チーム最多となる7本のシュートを放ったものの、決めたのは1本。
「もうちょっとクロスの当て方だったりというところを工夫できれば、もっと点が取れたかなと思います」
「個人としてはシュートのチャンスで決め切れなかったところがあります」
そう言って、ストライカーとしての課題に真摯に向き合っていた。味方ではなく、自分自身に対して納得していない口調だ。まるで「敵は己の中にあり」といった様子である。
試合後の小林がこうした表情を見せるのは、これが今年初めてではない。
2週間前に行われた第19節・湘南ベルマーレ戦でも、自身の決勝弾で1-0で勝ったのだが、やはり厳しい表情のままだった。