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“ガンバの元祖・天才”51歳礒貝洋光は19歳久保建英をどう見る?「プレーよりもスゴイのは…」
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/10/10 17:02
ガンバ大阪の中心選手として活躍した礒貝洋光。日本サッカーの天才たちをどう見ているのか?
俊輔、小野、久保……天才は天才をどう見る?
Jリーグ開幕以前から海外でのプレーも視野に入れるなど、若くして天才と謳われた礒貝のあとにも、日本サッカー界には中村俊輔や小野伸二、遠藤保仁、宇佐美貴史や久保建英ら多くの天才と称される選手が出ているが、元祖・天才は彼らをどう見たのか。
「みんな上手いけど、普通だよね。驚くかと言ったらそうじゃない。サッカーにおいて、天才という言葉がどういうことを表しているのかは自分にはわからないというか、そういう言葉は誰にも当てはまらないとも思ってる。
たとえば、メッシのプレーなんて解説できないでしょ。要はトップスピードでゴール前に入って、ピタッとトラップして、切り返してシュートを決めるだけ。それを世界的なDFを相手にやってしまうから、もちろん、エエッ!?とは思うよ。
ただ、それはレベルの違いであって、できる選手はできるということ。小野にしてもメッシにしても、そこにゴールがあって決めなきゃいけないからボールを蹴っているというだけの話じゃないかな」
質の高い選手のプレーに唸ることはある。だが、すべてのプレーは礒貝にとってある意味で想定内だという。一方で、それ以上に感じるのはメンタリティーの進化で、日本サッカーがさらに世界で躍進する日もそう遠くないと確信しているとも話す。
「例えばマルセイユの酒井宏樹にしてもビジャレアルの久保くんにしても、フランス語やスペイン語を普通に話して欧州リーグでもあらゆる面で対等に戦うのが当たり前になりつつある。20歳のときにバルセロナに留学してもほとんど試合ができなかった自分の時代とは違う。今後すぐにW杯の決勝で勝てるかと言ったら微妙だけど、近い将来に日本サッカーの新しい扉が開かれたとしても不思議じゃないところまで来ているのでは」
現役時代、針の穴を通すようなキラーパスが礒貝の武器だった。年を重ね、プレーの再現はもうできない。だが、ときに事の核心を突くような独創的な発想は、いまも錆びついていなかった。
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