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実は残留率「56.6%」? プレミア昇格組フルアム、WBA、リーズの強みと弱点を探る
posted2020/10/03 20:00
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph by
Getty Images
56.6%。
プレミアリーグ発足後、昇格1年目のクラブが残留する確率だ。28年の歴史の中で、延べ83クラブがプレミアリーグに昇格してきたが、リーグレベルに違いがあるにもかかわらず、意外にも過半数が残留を果たしている。
その中にはただ残っただけでなく、昇格1年目にして躍進を遂げたクラブも多く存在する。92-93シーズンにアラン・シアラーを擁して4位を記録したブラックバーンは、その後2位、優勝を果たしクラブ史の一時代を築いた。
最近では7位でEL出場権を獲得したウォルバーハンプトンや、昨シーズン9位のシェフィールド・Uなどが挙げられる。
前者はマンチェスター・U、チェルシー、アーセナルなどビッグクラブ相手に”大物食い”を披露し、昇格2年目の昨季はマンチェスター・Cにシーズンダブルを食らわせた。
後者はクリス・ワイルダー監督の「センターバックがオーバーラップする」斬新な戦術と、GKディーン・ヘンダーソン(現マンチェスター・U)を中心とした堅守で、リーグで4番目に少ない失点数に抑えた。
フルアムはいわば「ミトロビッチFC」
さて今季はリーズ、WBA(ウェストブロムウィッチ)とフルアムが昇格1年目のシーズンに挑むわけだが、3節を戦い各クラブの特色が見えてきた。どこが”ポスト・ウルブス&ブレイズ”になるのか、それぞれの序盤戦を振り返りたい。
3クラブの中で厳しいシーズンを強いられることになりそうなのはフルアム。昨季の昇格プレーオフを勝ち上がり、2季ぶりにプレミアリーグに戻ってきたロンドン最古のクラブだ。
開幕3連敗で厳しい船出となった今のフルアムは、良くも悪くも「ミトロビッチFC」といっていい。
昨季2部で26ゴールを挙げたチームのエース、アレクサンダル・ミトロビッチ。彼を中心にチーム作りをする――というより、そうせざるを得ない状況なのだ。
アーセナルとの開幕戦では1トップにこのセルビア代表FWではなく、アブバカル・カマラを抜擢。ただ3バックのアーセナルに対し、敵陣のサイド深くまではボールを運べるものの、その後攻め手を欠き、質の高いフィニッシュまで持っていくことができなかった。