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近本光司、周東佑京、増田大輝、西川遥輝…盗塁上手かは成功と失敗の“収支”を見るべき
posted2020/09/28 11:40
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kyodo News
今年のNPBは「盗塁王戦線異状あり」になっている。これまで、盗塁王と言えばリードオフマンなど錚々たるレギュラー選手の争いと相場が決まっていたが、今季はレギュラーに定着していない「走り屋」が、盗塁王争いに割り込んできているのだ。
<両リーグの盗塁数5傑とその打席数>
〇パ・リーグ
1周東佑京(ソ)25盗塁(196打席)
2西川遥輝(日)22盗塁(380打席)
3和田康士朗(ロ)19盗塁(62打席)
4源田壮亮(西)14盗塁(366打席)
4外崎修汰(西)14盗塁(363打席)
〇セ・リーグ
1近本光司(神)20盗塁(353打席)
2増田大輝(巨)16盗塁(38打席)
3梶谷隆幸(De)13盗塁(377打席)
4堂林翔太(広)10盗塁(319打席)
4大島洋平(中)10盗塁(378打席)
両リーグともにリーグを代表する俊足レギュラー選手に交じって、和田や増田といった規定打席にはるかに届かない選手がランクインしている。
100打席未満の選手が盗塁王なら戦後初
盗塁に関してはこれまでも、規定打席未達でタイトルを取った選手は結構いた。ここ10年で見ても、2011年の巨人・藤村大介(28盗塁)がそうだ。しかし藤村は規定打席未達といっても407回も打席に立っている。
もし今季、100打席に満たない選手が盗塁王になれば、NPB史上、戦後初めてとなる。ちなみにパ・リーグの盗塁数6位タイにはオリックスの佐野皓大がいる。彼は13盗塁しているが打席数は40だ。
少し前まで巨人に鈴木尚広という「走り屋」がいたが、これだけ何人もの「走り屋」が登場するのは、大げさでなく歴史的な出来事のように思う。