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近本光司、周東佑京、増田大輝、西川遥輝…盗塁上手かは成功と失敗の“収支”を見るべき
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2020/09/28 11:40
2年連続セ・リーグ盗塁王が見えてきた近本光司。成功率も上がってくれば、理想的なリードオフマンとなる
今季の盗塁収支はどうなっている?
では今季の両リーグの「盗塁収支」はどうなっているのか。
〇パ・リーグ
1周東佑京(ソ)22(25盗塁3盗塁死)
2西川遥輝(日)18(22盗塁4盗塁死)
3和田康士朗(ロ)16(19盗塁3盗塁死)
4佐野皓大(オ)13(13盗塁0盗塁死)
5荻野貴司(ロ)9(12盗塁3盗塁死)
〇セ・リーグ
1近本光司(神)14(20盗塁6盗塁死)
1増田大輝(巨)12(16盗塁4盗塁死)
3堂林翔太(広)7(10盗塁3盗塁死)
4吉川尚輝(巨)6(7盗塁1盗塁死)
5松原聖弥(巨)5(6盗塁1盗塁死)
5梶谷隆幸(De)5(13盗塁8盗塁死)
5神里和毅(De)5(5盗塁0盗塁死)
5塩見泰隆(ヤ)5(5盗塁0盗塁死)
5山田哲人(ヤ)5(8盗塁3盗塁死)
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近年のパ・リーグでは日本ハムの西川が盗塁数でも盗塁成功率でも第一人者だった。
これをロッテの荻野、西武の金子侑司あたりが追う図式だったが、今年はここにソフトバンクの周東とロッテの和田、さらにオリックスの佐野と「走り屋」たちが果敢に割って入っている。佐野などは13盗塁して失敗なしである。
セ・リーグでは阪神の近本が2年連続タイトルに向けて走っているが、盗塁収支ではこれも「走り屋」の増田が迫っている。レギュラーで打席数の多い近本が今年も圧倒的に有利だろうが、盗塁収支で考えると増田の貢献度も高いことがわかる。
レギュラーの近本と“走り屋”の立場
現代のNPBでは、盗塁は走者の判断だけで行うことはまずない。ベンチがOKを出してこそ次の塁にトライできる。
阪神の近本は、失敗してもベンチの信号はずっと「青」のままなのではないか。セイバー的には議論の余地があるが、これも球団のポリシーであり、近本を一流のリードオフマンに育てるための方針だろう。そのこと自体に非があるわけではない。
しかし「走り屋」たちはそうではない。失敗が続けば“黄信号、赤信号”が灯る。そもそも試合で起用されなくなる。その中で数字を積み重ねているのだ。