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久保建英のラストパスにエースも拍手 「タケにボールをあずけておけば」との信頼を生む10分強
text by
中西哲生+戸塚啓Tetsuo Nakanishi + Kei Totsuka
photograph byDaisuke Nakashima
posted2020/09/21 19:00
開幕2戦目もベンチスタートの久保は、84分から途中出場。にも関わらず、確かなインパクトを残した。
チームメイトの信頼を深めた「ラストパス」
GKと最終ラインの間を通したグラウンダーのラストパスは、残念ながら味方選手につながりませんでした。ゴール前へ詰めていたエースストライカーのヘラルド・モレノは、目の前を通り過ぎていくボールを見送ると頭を抱え、すぐに久保に向かって拍手をしました。
次に同じような場面が訪れたら、ヘラルド・モレノはクロスが入ってくることを疑わず、迷うことなく飛び込んでいくでしょう。このワンプレーで久保は自らのクオリティを示し、チームメイトの信頼を深めたのです。
「もう少し早く使われていたら」と感じるシーンも
久保自身がゴール間へ走り込んでパスを受け、ヘラルド・モレノにラストパスを通す場面もありました。前線でパスを引き出すのは途中交代の選手に求められるプレーで、強引に打つのではなく確実性の高いパスを選択したのはクレバーでした。
また、ヘラルド・モレノからラストパスを受ける場面もありました。ゴールのほぼ正面でDFと1対1になり、抜き切る前に左足シュートへ持ち込みましたが、得点にはつながりませんでした。
とはいえ、フィニッシュの判断は悪くなかったでしょう。彼にとって難しかったのは、この試合で初めてのシュートだったということです。ウエスカとの開幕戦は30分過ぎからの出場で、この日は終了間際からの登場です。試合のなかでシュートを打つ感覚が、まだ磨かれていませんでした。
たとえば後半開始から投入されていれば、この時点で何本かシュートを打っていて、左足を振る感覚をつかめていたかもしれない。1本目のシュートを受けて2本目、2本目までを受けて3本目といったように、シュートを何本か打つことがDFとの駆け引きで伏線になる効果もある。エメリ監督は正しい競争原理を持ち込んでいると感じますが、あのシュートシーンだけを抽出すると「もう少し早く使われていたら」と感じました。