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ネイマール乱闘退場は賛否両論だが……ロべカルやD・アウベスも被害、ブラジルサッカー人種差別史
posted2020/09/21 17:00
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Getty Images
VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)モニターで暴力行為を確認した主審からレッドカードを突き付けられたネイマールは、非常に苛立っていた。
主審へ向かって手を叩いてからタッチライン方向へ歩いたが、第4審判の前で立ち止まると、大きな身振りで「人種差別はノーだ」と繰り返す。しかし、それが何の効果も生まないと知ると、憮然とした表情でピッチを後にした……。
9月13日にパリで行なわれたフランスリーグ第2節のパリ・サンジェルマン(以下、PSG)対マルセイユ戦は、徹頭徹尾、激しい試合だった。
新型コロナウイルス感染のため3日前の開幕戦を欠場し、この試合で今季初先発したPSGの背番号10を、日本代表右SB酒井宏樹が体を張ってマークする。その様子を、マルセイユの一員となったばかりの左SB長友佑都がベンチで見詰める。
前半31分、マルセイユが先制。PSGも懸命に反撃するが、ネイマールらが決定機を逃し続ける。
ゴンサレスの後頭部を殴ったワケ
そして後半アディショナルタイム、接触プレーから両チームの選手がもみ合い、乱闘となった。主審は双方から2人ずつ退場させた後、VARからの助言でモニターを見た。ネイマールがマルセイユのスペイン人CBアルバロ・ゴンサレスの後頭部を殴っていたこと確認すると、追加で退場させた。
試合後、ネイマールは自身のツイッターで「唯一の後悔は、あの大馬鹿者の(後頭部ではなく)顔面を殴らなかったこと」、「VARが僕の“暴力行為”を捉えた。それなら、あの人種差別主義者が僕のことを『サル、○○の息子』と呼んだ映像はどこにあるんだ」と不満をぶちまけた。
一方、ゴンサレスは自身のツイッターに長友らチームメイトと勝利を祝う写真を掲載し、
「(フットボールに)人種差別の居場所なんてない。私のキャリアはクリーンで、大勢のチームメイトや友人と日々過ごしている」として、「(ネイマールは)負けを受け入れることを学べ」と言い返した。