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久保建英のラストパスにエースも拍手 「タケにボールをあずけておけば」との信頼を生む10分強
posted2020/09/21 19:00
text by
中西哲生+戸塚啓Tetsuo Nakanishi + Kei Totsuka
photograph by
Daisuke Nakashima
10分強という限られた時間で、確かなインパクトを残した。
現地時間9月19日に行なわれたラ・リーガ第2節のビジャレアル対エイバル戦で、久保は後半40分からピッチに立った。開幕戦に続いての途中出場で、ゴールやアシストは記録できなかったものの、そのプレーは好印象を与えるものだった。“TAKE”は一歩ずつ前進している。
背番号16を着けた19歳のパフォーマンスを、開幕戦(https://number.bunshun.jp/articles/-/845051)に続いて中西哲生氏に分析してもらおう。
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後半40分の最終盤から途中出場となった久保
エイバル戦の久保に課せられたテーマは、「大胆さと繊細さの両立」でした。
2対1でリードする最終盤に途中出場した選手は、チームが逃げ切るためのタスクを求められます。アタッカーならボールを保持して時間を作る、前線からのチェイスで守備陣を助ける、といったプレーが優先されます。
そこで「ボールを失ってはいけない」といった気持ちが先行すると、プレーが慎重になり過ぎることがあります。あるいは、「何かひとつでも見せ場を作らなければ」といったギラギラした思いが膨らみ過ぎると、無謀な仕掛けをしてボールを失うことにつながったりもします。
エイバル戦の久保は、とてもフラットなメンタリティでピッチに立ちました。ウナイ・エメリ監督から交代出場を告げられるまでには、「今日はもう出番がないのかな」とか「もう少し早く出たいな」といった気持ちがよぎったかもしれませんが、交代選手としてのタスクがきちんと整理されていました。
ファーストプレーから迷わず大胆に仕掛ける
ファーストプレーは右サイドからの突破でした。
右サイドバックのマリオ・ガスパルから浮き球のパスを受ける直前に、久保は自陣へステップしてDFをつり出し、その直後に裏へ飛び出しています。しっかりとした予備動作からパスを引き出すと、相手に身体をぶつけてボールをブロックし、一瞬減速したのちに加速してタテへ抜け出しました。
右サイドからの突破は、マジョルカでも何度も見せてきました。1対1の局面を制するのは驚きでないものの、逃げ切るためにはボールロストを避けたい場面です。成功すれば周囲を納得させることができる一方で、失敗したらプレーの判断が良くないと言われかねない。さらに言えば、どんな選手でも慎重になりがちなファーストプレーで、迷わず大胆に仕掛けたのです。