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「3強」ビワハヤヒデ、ナリタタイシンは老衰で……。30歳、ウイニングチケットはどうしている?
posted2020/09/03 18:00
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
Kei Taniguchi
7月21日、1993年菊花賞などGIで3勝を挙げたビワハヤヒデが老衰のため30歳で死亡した。その3カ月前には同年の皐月賞などを制したナリタタイシンも老衰のため30歳で亡くなっている。ファンの間に悲しみが広がった。
そこで気になったのは、Number978号(2019年5月16日発売)でも登場した1993年クラシック戦線を盛り上げた三強の一角、ウイニングチケットの近況だった。
ビワハヤヒデやナリタタイシンとともに'93年の競馬界を盛り上げたウイニングチケットは同年の日本ダービーを制した。騎乗した柴田政人と人馬一体で臨んだ戦いは、四半世紀以上経った今も語り継がれている。
今年の3月で30歳、衰えは感じない。
'94年10月に競走馬を引退後、11年間の種牡馬生活ののち、2005年から北海道浦河町の観光施設を兼ねた牧場「うらかわ優駿ビレッジAERU」で功労馬として余生を過ごしている。今でも毎年、現役時代に多くの人々に愛された名馬に一目会いたいと牧場を訪れるファンも多いという。
昨年取材でチケットを訪ねたことがある。毛並みもつやつやと光り、体も29歳(当時)とは思えないほど引き締まっていた。食欲も旺盛で、全盛期のように牧場のなかを元気に駆け回っていたことを思い出す。
あれから1年半弱、チケットは今、どうしているのか。
同施設で'13年からチケットの世話をしている乗馬課のマネージャー・太田篤志はこう語る。
「先日は14年ぶりに浦河が30度を超えたらしく、かなり暑い日が続いています。チケットは今年3月に30歳になりましたが、今もうちにいる功労馬のなかでは一番体が仕上がっているというか、艶もいいですし、肉付きもほとんど変わっていません。歯もしっかりしていますし、食欲も旺盛で功労馬のなかで誰よりも先にたいらげる。衰えたなと感じさせるようなところは、まだほとんど見られませんね。
自分のルーティーンも決まっている馬なので、それに向かってしっかり意識して動いているし、意思表示もする。たとえば、放牧時間も大体決まっているので、それが少しズレたりするとカーッとなったり、早く外に出たがりますね」