JリーグPRESSBACK NUMBER
小川佳純が盟友・巻佑樹GMからの監督オファーに即答した理由。「ピクシーもそうでした」
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byFC Tiamo
posted2020/09/02 08:00
今年1月から関西リーグ1部のFCティアモ枚方の監督に就任した小川佳純。チームには二川ら経験豊富な選手たちが揃う。
監督歴は関係ない。ピクシーもそう。
指導経験はゼロ。JFA公認コーチライセンスはC級のみ。現在、B級ライセンスを取得中である。それでも、無謀な挑戦とは思っていない。1年目から結果を残すことを誓い、強い覚悟を持って引き受けた。
名古屋時代に指導を受けたピクシーの愛称で親しまれるドラガン・ストイコビッチ監督のことをふと思い返す。監督未経験ながら初年度からJ1で3位となり、2年後の2010年にはリーグ初制覇に導いた。
「1年目から結果を残せる人もいます。監督歴は関係ない。カテゴリーは違いますが、ピクシーもそうでした。最初からチームを勝たせ、選手を成長させたいと思っていました。僕も目指すところは同じ。初年度から面白いサッカーを披露し、結果も残す。そうすれば、評価されるはずです。日本のサッカー界にインパクトを与えたい。そこはひとつのモチベーション。1年目だから仕方ないとは言われたくないですね」
全員が連動した攻撃サッカー。
今年1月21日から指揮を執り始め、はや7カ月。コロナ禍の影響でリーグ開幕が当初の4月から4カ月も遅れたこともあり、じっくりと準備を重ねてきた。
型にはめるような指導はしない。ピッチ内でプレーし、判断するのはあくまで選手たち。その考えは現役時代から変わらない。ただ、監督の思い描く戦術を明示し、全選手に浸透させなければ、チームはバラバラになる。
目指すのは、全員が連動した攻撃的なサッカー。ボールとスペースを支配し、ゲームを掌握したいという。ボールを失えば、すぐに回収するのが理想だ。無理にやらせるのではない。納得してもらう作業に時間を費やしている。
「サッカーに正解はありません。プレーの選択肢もいくつもある。僕はこっちの方でやりたいと思っていても、選手は違う方法が正しいと思っている場合もある。そこで“こうしろ”と頭ごなしに押さえつけるのではなく、繰り返し話し合うことが大事」