話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
J2首位の長崎、堅守の要は「左」。
二見宏志と亀川諒史の頼もしさ。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/09/01 11:30
長崎の堅守を支える二見宏志。J1昇格は守備力が明暗をわけることも多く、期待は大きい。
リオ世代の亀川もチームの要に。
二見とともに左サイドバックの亀川諒史も攻守に効いていた。
マッチアップしたイッペイシノズカは突破力のある相手だが、距離を保ちつつ、厳しくいくところでは躊躇しない、メリハリのある守備で仕事をさせなかった。攻撃では機知に富んだ動きで、クロスを入れ、周囲の選手と絡むなど多様な攻撃を実現していた。
亀川は、リオ五輪の本大会の日本代表メンバーに選ばれ、当時、チームを指揮していた手倉森監督からは「亀川の疲れ知らずの上下動はうちの良さのひとつ」と大きな信頼を得ていた。
ただ、リオ五輪以降は、同世代の南野拓実、遠藤渉、鈴木武蔵らの活躍と比べると燻っている感があった。そういう中、昨年、柏から長崎への移籍を決めたのは、恩師の「一緒に上を目指そう」という言葉があったからだ。長崎では自分を理解してくれる監督の元で溌剌としたプレーを見せており、リオ五輪代表当時の勢いが戻ってきた感を受ける。
「派手に勝つ必要はない」
後半6分に1点を取り、同18分に大宮に退場者が出てから長崎は無理せず、そのまま逃げ切るスタイルを貫き、手倉森監督は交代選手にもその意識を徹底させていた。時間の使い方も秀逸で、ほぼ完全にゲームをコントロールして失点ゼロで終わらせた。
「長崎よりもJ1に長くいたチームに派手に勝つ必要はない。ずる賢く、手堅く試合をコントロールして勝てたのは大きい」
試合後、そう語る手倉森監督の表情からは、相当の自信が窺えた。
チームにはピーター・ウタカ(京都)やディサロ燦シルヴァーノ(北九州)のような絶対的なエースはいないが、この試合、3試合連続でゴールを決めた畑潤基のように出場した選手が結果を出している。