話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
J2首位の長崎、堅守の要は「左」。
二見宏志と亀川諒史の頼もしさ。
posted2020/09/01 11:30
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
J.LEAGUE
V・ファーレン長崎が大宮アルディージャを1-0で破り、首位を堅持した。
2位の北九州とは勝ち点差わずかに1点。北九州が勝ち、長崎が敗れると首位が入れ替わる状況の中、昨年2連敗している大宮との試合は絶対に落とせない1戦だった。
試合は重たいムードの中、腹を探り合う展開になった。
「昇格争いのライバルになる相手」
試合前、手倉森誠監督がミーティングで語ったことで選手は、この1戦を過剰に意識したのだろう。「硬くなって、ボールを動かすエンジンがかるまで時間がかかった」というように前半の攻撃は単発に終わり、スタジアムが沸くことはあまりなかった。
後半6分、長崎が先制点を奪ってからゲームが動き始めた。
大宮が攻撃の意識を高め、押し込もうとする。
だが、フィニッシュにつながらない。
高木琢也監督が「相手ゾーンでボールを奪っても相手の切り替えの早さで、前に運ぶことができなかった」と語ったように大宮を苦しめ、チャンスの芽の潰したのは、長崎の攻守の切り替えの早さ、とりわけ攻から守に転じた時の球際への厳しさだった。
ピンチを次々と潰した二見宏志。
ただ、長崎も90分間、それが続いていたわけではない。
大宮のドリブルでの仕掛けや縦パスから危険なシーンを作られそうになった。
その都度、体を張ってチャンスの芽を摘み、非常に目立っていたのが左センターバックの二見宏志だった。
後半25分、大山啓輔から奥抜侃志への縦パスが通れば決定的なチャンスというシーンでも、二見が体を投げてクリアした。イバにも怯むことなく、厳しいマークでほとんど仕事をさせなかった。後半47分には、奥抜のドリブルをうまく外に進路を限定し、タイミング良く足を出して止めた。
先を読む力と、それをプレーに繋げて相手の攻撃の芽を摘む高いフィジカルを持ち、左足のキックの精度も高い。優秀なセンターバックは、今、どこのクラブも欲しいと狙っているポジション。今のパフォ-マンスがつづけば、いろんなクラブから声がかかるのではないだろうか。
「いい仕事をしてくれた」と手倉森監督も二見のプレーに満足そうだった。