“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
神戸、大胆な10人替えで浦和に勝利。
山口蛍「大きな刺激を得られる試合」
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/08/25 11:30
菊池流帆や初瀬亮ら、久しぶりのスタメン出場を果たした選手たちが躍動した神戸。ここから川崎、横浜FMと強豪との連戦が控える。
空中戦を制圧したDF菊池流帆。
守備面で光ったのは、6試合ぶりのスタメン起用となったCB菊池流帆だ。制空権を握り続け、ヘディングでの競り合いの度に発せられる雄たけびは、静かな埼玉スタジアムに十分すぎるほど響き渡った。スタンドにいる限られた観客と記者席からは、ちょっとしたどよめきが起こったほどだった。
菊池はシュートブロックも冴え渡っていた。前半早々の9分に浦和にカウンターを受けると、菊池はMF山中亮輔のシュートに対し、左足を伸ばしてスライディングブロック。71分、FW興梠慎三の抜け出しを開幕戦以来となる出場となったGK前川薫也が飛び出し、セーブを試みる。そのこぼれ球をMF汰木康也に拾われるが、ガラ空きとなったゴールにカバーに入った菊池が気迫のヘッドで外に弾き出した。
コーナーキックのこぼれから浦和のDFトーマス・デンに目の覚めるような弾丸ミドルを決められて同点に追いつかれたが、神戸は攻守において運動量と躍動感を持ってプレーし続け、浦和に自由を与えなかった。
ベンチから試合を見つめていたMF山口蛍は「最後まで諦めずに体を張っていたし、失点しても崩れなかった。今まで出ていたメンバーは見習わないといけないと感じた」と語った。
控え組に刺激された山口の決勝弾。
主軸メンバーたちも、ピッチから伝わる熱い思いに応えた。
浦和が興梠を入れて2トップにした同じタイミングで、フィンク監督は5試合ぶりの出場となったMF佐々木大樹に代えて山口を、サンペールと藤本に代えてDF大崎玲央とFWドウグラスを投入。4-3-3から3-4-2-1にシステムチェンジした。
「3バックになったことで重心が少し後ろになって押し込まれる時間も増えたので、耐えることとなるべく前でプレーすることも考えた」(山口)
百戦錬磨の山口の冷静な目が攻守のバランスを整え、前線ではドウグラスがターゲットとなってカウンターを構築。75分にはベテランDF酒井高徳とルーキーのFW小田裕太郎という安定感とカンフル剤を同時に投入すると、それが功を奏したのか、82分には左CKのこぼれ球を山口がダイレクトで蹴り込んで決勝弾を叩き込んだ。