“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
神戸、大胆な10人替えで浦和に勝利。
山口蛍「大きな刺激を得られる試合」
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/08/25 11:30
菊池流帆や初瀬亮ら、久しぶりのスタメン出場を果たした選手たちが躍動した神戸。ここから川崎、横浜FMと強豪との連戦が控える。
“丸坊主”の小川が先制ゴール。
前節から頭を丸坊主にしたFW小川慶治朗は3トップの一角に入り、3試合ぶりのスタメン出場を飾った。
小川は3年前にも一度、頭を丸めたことがあった。「プロに入ってから初めて」だったが、当時は怪我をした自分を奮い立たす意味があった。
下部組織出身でクラブの伝統的エースナンバー「13」をプロ2年目から背負った小川だったが、2018年夏に湘南ベルマーレに期限付き移籍を経験。その後、半年で復帰すると再び13番を託され、昨季はリーグ25試合出場し、5ゴールをマークした。しかし、今季のスタメン出場はわずか4試合、ノーゴールと停滞。神戸を象徴する存在として期待も大きかっただけに、本人にも忸怩たる思いがあったはずだ。
アジリティーと技術に長け、得点嗅覚も鋭い。この日の小川は何度もゴール前へ顔を出すスプリントを披露し、存在感を発揮した。“2度目の丸刈り”とともに、そのプレーには覚悟が表れていた。
小川のゴールを左からのグラウンダーのクロスでお膳立てしたのは今季初スタメンを飾ったDF初瀬亮だ。初瀬もまた気迫と危機感を包み隠さずにプレーに反映させていた。
「僕がサイドからクロスを上げる時は、ノリくん(FW藤本憲明)がどこにいるかを判断材料としていました。ノリくんはニアに突っ込んで触るのが得意だったので、そこに速いボールを送れば、(藤本が触らなくても)ファーが空いてくると思った」
今季初スタメン初瀬「悔しい思いも」
得点シーンを振り返ると、左サイドでサイドチェンジのボールを受けた初瀬は、対峙したDFにフェイントを仕掛けて一気に縦に突破し、左足のライナークロス。ニアに飛び込んだ藤本が相手DF1人を引き付けてスルーすると、ポッカリと空いたファーのスペースに小川が飛び込んだ。
「ここ最近はメンバーに入れなくて悔しい思いもあった。でも、少ないチャンスを前々節、前節と与えてもらっていたので、今日の試合はもう失うものは何もないという気持ちで挑んだ。だからこそ、あのアシストにつながったと思います。スタメンが10人も入れ替わったとしても、チームとしてやることは変わらないし、監督も僕らを戦えると信じてくれたからこそ起用してくれたと思っています」(初瀬)
8試合ぶりのスタメンとなった藤本とともに、先制点のきっかけを作った。