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体操の次世代エース北園丈琉の進路が
大学ではなく「徳洲会」の理由。 

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宝田将志

宝田将志Shoji Takarada

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posted2020/08/21 10:30

体操の次世代エース北園丈琉の進路が大学ではなく「徳洲会」の理由。<Number Web> photograph by AFLO

清風高校の梅本英貴監督と3年生北園丈琉。

大学は通信制、練習場所は清風高校。

 東京五輪の代表選考会は来春になることから、北園は五輪までは環境を変えず、清風高で練習を続けることにした。大学体操部に進むより柔軟に対応できるのも利点と言える。

 学業に関しては、通信制の星槎大学で続けていく。コロナ禍を受け、国内外の大学がオンラインでも講義を行うようになっており、今後、学びの形は様変わりしていく可能性がある。

 勉学だけではない。米田も、梅本も、少子化が進み、他競技との人材獲得や人気の競争が激しくなる現代において、体操選手のあり方はもっと多様であっていいと考えている。リオ五輪後、内村が日本初のプロ選手になって新たな道を切り開いたが、北園の「高卒実業団」も、また別の新しい道だ。

「体操という競技はもっと注目されていい」

 梅本は教え子の未来について「大事なのは結果ですよ」と毅然と語る。

「ここで結果が出なかったら、『好き勝手なことをやって』という反応で、なんとなく終わっていく。選択肢が広がったことを見せるには、やはり成功しないといけない」

 それを出来るだけの器だと見込むからこその真っすぐな期待だ。「大学の関係者は面白くないかもしれない」と感じるが、この一歩が体操界を刺激し、子供たちの夢につながることを願ってやまない。

 北園自身が追求しているのは「強くなること」。その一点だ。同時に、こんな思いも持っている。

「体操という競技はもっと注目されていいと思うし、もっとメジャーになってほしい。そのためにも新しい挑戦は必ず必要だと思うんです」

 踏み出す先は異なれど、底に流れる情熱は、多くのジムナストと何ら変わるものではない。

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