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「体操を辞めるかどうか…」宮田笙子が思いつめていた進退…監督が明かした“変化”「いろいろな人に配慮できるようになってきた」20歳の今後
posted2024/11/27 11:02
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
AFLO
波瀾万丈、あやまちもあった1年を、感謝の思いを込めた涙で締めくくった。
11月22日から24日まで三重県四日市市で行なわれた体操の全日本団体選手権・種目別選手権。順天堂大学のメンバーとして女子団体に出場した宮田笙子は、最後の種目だった平均台でE難度の降り技「後方屈身2回宙返り」をきっちり止めた。
平均台は2022年世界選手権(英国リバプール)で種目別銅メダルに輝いた得意種目。13.200点は本来の実力と照らし合わせれば完璧とは言えないかもしれない。しかし、演技の直後に見せた小さなガッツポーズには達成感がにじみ出ていた。最終結果は順大女子チームとして過去最高の3位。宮田は目尻を何度もぬぐった。
演技後の宮田が答えた“涙の意味”
「(優勝するには厳しい点差だったが)どんなことがあっても絶対に諦めずにやると決めていた。平均台は自信を持って臨める種目ではあるけど、最後の降り技を止めにいけるのは珍しいというか、その余裕があったことが良かった。団体戦で最後に良い締めくくりをできたという思いがあふれてきた」
涙の意味を聞かれると、宮田はこのように言葉を継いだ。
「同期の2人(笠原有彩、松田透和)や順大の先輩がつないでくれたバトンがあったからこそ、最後の着地を決めに行けたと思う。団体戦ならではの感動があった」
試合全般を振り返ると、「緊張を感じながらの演技だった」(宮田)という言葉通り、最初の種目のゆかではミスが出た。
大会前に左足リスフラン靱帯や親指の靱帯、右足首を負傷した影響で状態が思わしくなく、演技構成が決まったのは試合当日の練習後。それでも、2種目目以降は落ち着いていった。
「自分が楽しむことが一番大事だと思っていて、そこはできたかな」