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オルンガはリーグ記録を更新するか。
圧倒的なスピード、そして緩急の妙。 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byJ.LEAGUE

posted2020/08/15 08:00

オルンガはリーグ記録を更新するか。圧倒的なスピード、そして緩急の妙。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

チームの総得点の半分を自ら決め、リーグランキングも独走するオルンガ。他チームはどんな対策を立ててくるだろうか。

細長い足がスピードを伸ばす?

 生活環境の影響だけではなく、身体的特徴からも速さが見えてくる。        

 日本サッカー界でトップレベルのスピードを持つ浅野拓磨もそうだが、日本人選手は平均して膝下がケニア人ほど長くなく、ふくらはぎが「子持ちししゃも」のように発達していることが多い。足で勢いよく地面を蹴った反動で進むので、速く前に進むためには地面を強く蹴ることが必要になる。そのためにふくらはぎを使って地面をつかむように走るので、ふくらはぎが発達していくのだ。

 一方でケニア人には、細身で膝下が細長く、腰高のフォームで走る選手が多い。日本人に多い踵から着地して蹴り出す接地ではなく、つまさきから着地し、地面からの反発力やアキレス腱などの張力で推進力を得ることに適している。

 膝下が細長いと足の振りが速くなるので、ストライドが大きくなり、スピードが伸びるのだ。実際オルンガの膝下も細長く、背筋がピンと張り、腰高のフォームで走っている。

中山雅史の新記録も見えてきた。

 スプリントが速く、相手がマークに来ると緩急で抜け、シュートまでもっていく。F・マリノスは、オルンガ自身を潰すよりもアシストをしている江坂任らを徹底的にマークした。オルンガへのパスの供給源を断つプランだったが、それでも数本はスペースに出され、危ないシーンを作られていた。

 これから柏と対戦するクラブがオルンガ対策をどう講じるか、頭を悩ますことになるだろう。

 実力、存在感はすでにトップレベル、気になるのは記録だ。

 9試合10得点は、ペースとしては37得点を挙げる計算になる。昨年の京都戦での8ゴールという爆発力を考えれば、1998年に中山雅史が27試合で36得点を挙げたJリーグ1シーズン最多得点はもちろん、前人未到の40得点という数字さえ見えてくる。

 オルンガのゴール伝説は、まだ助走に過ぎない。

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