話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
オルンガはリーグ記録を更新するか。
圧倒的なスピード、そして緩急の妙。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/08/15 08:00
チームの総得点の半分を自ら決め、リーグランキングも独走するオルンガ。他チームはどんな対策を立ててくるだろうか。
揺さぶりに強いのも特徴?
ケニアは、乾燥地帯が国土の3/4を占め、それ以外はサバンナが広がっている。国土の大半が標高1200m以上の高地にあり、そのため自然と心肺機能が高められる環境にある。首都ナイロビは大都会だが、郊外は国道でも未舗装の道路が多く、上りや下りなどを含む不整地が多い。そういうところを通学などで日常的に歩いたり、走ったりしているので足が磨かれ、自然と独特の走るリズムが身についたのだろう。
そのせいか、ケニア人は、ランニングにおけるペースの変動の振幅が大きいといわれている。日本人のランナーは、トラックなどで練習しているせいかイーブンペースで走ると強いが、ペースが大きく変動するとうまく対応できない選手が多い。揺さぶりに弱いのだ。
日本式の守備はオルンガの餌食?
オルンガも「よーい、どん」も速いが、よく見ているとペースの変動が自由自在で、緩急をつけて相手を置き去りにしている。
F・マリノス戦のゴールシーンも畠中槙之輔が並走してシュートをブロックしにきた時、誘うように少しスピードを緩めた。相手が食いついてくると見るや一気にスピードを上げて抜き去り、シュートを放った。
こうしたDF対応はオルンガにとってくみしやすいものになる。
ケニアや欧州では日本と違って、スピードを警戒して下がりながら外に追い込みつつ、タイミングを見計らって身体を入れるという守備をしない。時間を与えることは相手にも考える余裕を与えるからだ。
そういう守備は間があるので、身体能力が高いオルンガにとってそれほど怖くはない。完全に動きを止められる強烈なフィジカルコンタクトや一発のハードタックルの方が嫌なはずだ。