競馬PRESSBACK NUMBER
豪GI制覇への足掛かりとなった、
メールドグラースの小倉記念。
posted2020/08/14 07:00
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Satoshi Hiramatsu
今週末、小倉競馬場では小倉記念(GIII、芝2000メートル)が行われる。
過去には小倉巧者として名を馳せたメイショウカイドウが連覇(2004年、2005年)を達成したようなレースだが、昨年は当時4歳だったメールドグラースが優勝している。
キタサンブラックを育てた事でも有名な清水久詞調教師が管理していたメールドグラースは、この時点で4連勝中。とくに近2走は新潟大賞典(GIII)、鳴尾記念(GIII)と重賞を連勝。13頭立てとなった小倉記念では唯一57.5キロのトップハンデを背負わされていた。
「鳴尾記念から約2カ月の間隔が開いていたけど、変わらず状態は良かったですよ」
後に清水調教師に話を伺うと、彼はこう答えた。実際、トップハンデをものともせず、1番人気に応えて勝利するのだからこの言葉に嘘はなかったのだろう。
これで重賞3連勝となったメールドグラースが、この後、新たな目標としたのは赤道の向こうにあるレースだった。オーストラリア、ビクトリア州にあるメルボルン地区で行われるコーフィールドカップ(GI、コーフィールド競馬場、芝2400メートル)がそれだった。
若き名手レーンとの再会。
夏、最大の上がり馬としてまだ春のオーストラリアへ乗り込んだメールドグラースは、枠順抽せんの結果、21番(補欠馬と回避馬を除き最終的に18頭立ての17番枠)になった。少々、外になってしまった事に一瞬、苦笑した清水調教師だが、気を取り直すように言った。
「こればかりは仕方ありません。ジョッキーにうまく立ち回ってもらい、結果的に好枠だったとなる事を祈ります」
鞍上を託されたのは地元の若き名手ダミアン・レーン騎手。短期免許を取得して来日した際、メールドグラースに出合った。新潟大賞典も鳴尾記念も彼が騎乗しての戴冠だった。勝手知ったるパートナーを、今度は地元で出迎えた。
久しぶりの再会はこのレースから遡ること4日。現地10月15日の早朝だった。
オーストラリアではメルボルン郊外のウェルビー競馬場にある検疫厩舎に入っていたメールドグラースだが、この日はそこを出て、決戦の地となるコーフィールド競馬場をスクーリング。加えて追い切りもここで行い、その鞍上をレーン騎手が任されたのだ。