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NBA、2019年組は豊作世代だった?
八村、ザイオンらルーキーの通信簿。 

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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photograph byJoe Murphy/NBAE via Getty Images

posted2020/08/12 20:00

NBA、2019年組は豊作世代だった?八村、ザイオンらルーキーの通信簿。<Number Web> photograph by Joe Murphy/NBAE via Getty Images

新人王の本命とされるジャ・モラント(グリズリーズ)。華奢な体つきだが、驚異的なスピードと跳躍力ですでにチームの核を担う。

今季は怪我に泣いたスター候補。

ザイオン・ウィリアムソン(ニューオリンズ・ペリカンズ) 
24戦 22.5得点(FG成功率58.3%) 6.3リバウンド  

 新人王候補の発表に際し、一部で論議を呼んだのはウィリアムソンがトップ3に含まれたことだった。去年のドラフト全体1位指名でペリカンズに入団した怪童も、開幕前に膝を痛めて戦線離脱。結局は1月22日まで戦列を離れることを余儀なくされ、3月の中断前までわずか19戦に出場したのみだった。

 どんなに凄い選手でも、試合に出なければ始まらない。新人王のトップ3にも、よりコンスタントに働いた選手が選ばれるべきだったという意見にも一理ある。50試合未満の出場で新人王を獲得した選手はリーグ史上でも存在しないだけに、いずれにせよ、ウィリアムソンが新人王得票でモラントを上回ることはないだろう。

 もっとも、すべてを踏まえた上で、ウィリアムソンがとてつもない魅力を持った選手であることに疑問の余地はない。中断時点で平均23.6得点、6.8リバウンドという数字は見事。再開後のオーランドでも爆発力の片鱗を随所に示しており、今年度のルーキーの中でも最大のポテンシャルを秘めているのはやはりウィリアムソンなのだろう。

 アメリカにおいて、プロスポーツはビジネス。NBAとスポーツメディアもウィリアムソンのスター性を重宝しているのは明白で、その点が今回のノミネートにも影響したという印象がある。これから先も、ウィリアムソンは米スポーツ界を様々な形で騒がせていくに違いない。

ドラフト外の25歳は“最大のサプライズ”。

ケンドリック・ナン(マイアミ・ヒート)
66戦 15.2得点(FG成功率44.3%、3P 35.6%) 3.3アシスト

 
 ナンは“今季最大のサプライズルーキー”と呼ばれるに相応しい。開幕前はまったくの無印だったドラフト外入団の25歳は、開幕から5試合で24、18、25、17、28得点と立て続けに高得点をマーク。昨年10月31日のホークス戦で28得点をマークしたあたりで、一気に話題沸騰した感があった。

 デビューから最初の5戦で合計100得点越えを果たしたルーキーは、2007~08シーズンのケビン・デュラント(当時、シアトル・スーパーソニックス)以来12年ぶり。しかもドラフト外の選手となると、NBA史上初の快挙だった。

 カレッジ時代も得点力は発揮しながら、2018年のドラフトでは指名漏れ。プロ入り後はGリーグ(マイナーリーグ)やサマーリーグで経験を積んだスコアラーは、ここでアメリカンドリームを体現したのだった。

 シーズン中盤から勢いは徐々に弱まったが、それでも11~1月までイースタンのルーキー・オブ・ザ・マンスを3カ月連続受賞。身体能力とシュート力をいかして強豪チーム内で役割を確立し、ヒートのポストシーズン進出に貢献したことは評価されてしかるべきだ。新人王受賞はなくとも、ナンはプレーオフでも勝ち進む今年度唯一のトップルーキーとなるのかもしれない。

【次ページ】 大きなプレッシャーを背負った八村。

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