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NBA、2019年組は豊作世代だった?
八村、ザイオンらルーキーの通信簿。
posted2020/08/12 20:00
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Joe Murphy/NBAE via Getty Images
今季のNBAでは、大きなスター性を持った一部のルーキーたちが例年以上に大きな話題を集めてきた感がある。
特にプロ入り前からスーパースター候補と目されたザイオン・ウィリアムソンという超有望株が存在したこともあり、アメリカでも2019年のドラフト組は注目されることになった。八村塁が待望のデビューを飾ったため、日本のファンも1年目の選手たちに大きな関心を寄せたのではないか。
8月8日、NBAは今季の各賞の最終候補3人を発表。新人王候補にはジャ・モラント、ザイオン・ウィリアムソン、ケンドリック・ナンがノミネートされた(最終結果の発表は未定)。今回はこの3人を中心とした今年度の有力新人の活躍を振り返り、その真価と貢献度を改めて検証していきたい。
マイケル・ジョーダン、アキーム・オラジュワン、チャールズ・バークレーといった大物が揃ってNBA入りした1984年や、レブロン・ジェームズ、ドウェイン・ウェイド、カーメロ・アンソニーらが顔をそろえた2003年など、NBA史上には“豊作”と呼ばれるドラフトがあった。2019年組もそうなっていく可能性はあるのだろうか?
※今季のリーグ新人王は3月11日に中断する前までの実績から決められる。以下、データは8月12日時点。
抜群のスピードと跳躍、未来のMVPに?
ジャ・モラント(メンフィス・グリズリーズ)
66戦 17.9得点(FG成功率48.0%、3P 34.3%) 7.2アシスト
「彼(モラント)は凄い選手になっていくと思いますよ……」
メンフィスでのホーム開幕戦の際、グリズリーズと2ウェイ契約を結ぶ渡邊雄太がそう述べていたことはまだ記憶に新しい。
その予言通り、モラントはスピーディかつダイナミックなプレーで11~1月に3カ月連続でルーキー・オブ・ザ・マンス(月間最優秀新人)を受賞。去年のドラフトで全体2位指名された攻撃型ガードは、一般的に新人王受賞も間違いないと目されている。
最大のライバルとなるはずだったウィリアムソンが早々と故障離脱した後、最大のインパクトを残してきたルーキーがモラントだった。優れた個人成績を残すだけでなく、人気チームとはお世辞にも言えないグリズリーズをプレーオフ圏内に導き、全米的な注目チームに押し上げたことの意味も計り知れない。
今後、21歳の核弾頭はどこまで伸びていくか。今年1月、元スーパースターのトレーシー・マッグレディがモラントを「未来のMVP」と評していたことがあった。まだ気が早すぎるが、今は華奢な身体が遠からぬうちにもう一回り大きくなったら面白い。それでいてスピードとキレを失わなかった場合には、モラントは本当にMVPを争うような選手になっても不思議はないのかもしれない。