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ガンバの闘う技巧派・小野裕二。
宇佐美とも輝くプラチナ&いぶし銀。
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/08/08 08:00
国内外で得た小野裕二の経験値は非常に高い。宮本ガンバに新たなエッセンスを加えているのは間違いない。
一瞬一瞬のプレーにかける意思。
横浜F・マリノスではルーキーながら背番号10を託され、俗に言う「プラチナ世代」の1人として将来を嘱望されてきた小野だったが、ガンバ大阪ではプラチナというよりは、いぶし銀のプレースタイルでチームを支えはじめている。
「守備で体を張ったり、攻撃面でも難しいボールにヘディングで飛び込んでいけるところとか、一瞬一瞬のプレーにかけるところはチームに伝播してほしいし、伝播するところもある」(宮本監督)
そんな小野のファイターぶりを象徴するのが、7月8日に行われた名古屋グランパス戦である。
その4日前に行われた大阪ダービーで待望の移籍後初出場を飾っていた小野だったが、終了間際、片山瑛一との空中戦で顔面を強打。左眼窩底骨折との診断結果がリリースされたばかりだった。しかし、名古屋戦のピッチに小野はいた。
途中でフェイスガードを外しても。
入場の際にはフェイスガードをつけていた背番号11は、キックオフ直前に「間接視野がないので、ボールを蹴る時とかトラップする時、ドリブルする時にちょっと支障が出るかなと自分の中で判断して外した」。
フェイスガードなしでピッチに立つと、開始からわずか5秒後、負傷箇所を全く恐れることなく、三浦のロングフィードに対してヘディングでの競り合いを敢行した。
現役時代、「バットマン」スタイルでのプレー経験を持つ指揮官も「気持ちの強さを出してくれる選手だけど、現場を預かる身としては再受傷というのは心配なところもあった」と苦笑いしたが、小野本人はどこ吹く風で、こう言い切っていた。
「25年間ぐらいサッカーをやっていて、ここにボールとか頭が当たることはあまりなくて、確率的に当たらないかなと思った」