“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
J1大分5連敗、片野坂監督は沈痛。
主将・鈴木が口にした「戻れる場所」。
posted2020/08/11 11:40
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Etsuo Hara/Getty Images
チームの勢いとは水物なのか……一度狂った歯車を元に戻すことは難しい。今季の大分トリニータを見ていると、まさにそれを痛感させられる。
J1第9節川崎フロンターレ戦で0-2と敗れ、これでリーグ戦5連敗となった。
リーグ中断明けは2連勝を収め、リスタートに成功したかに見えたが、4節ヴィッセル神戸戦に引き分けて以降、チームは勝ち星に恵まれていない。それどころか、ここ5試合では15失点(4得点)と低迷の一途を辿っている。
「自分たちのミスでの失点が多い」
川崎戦でも開始早々の5分に川崎MF三笘薫に先制点を許したことで、ネガティブな空気がピッチを包み込んだ。
「最近は自分たちのミスでの失点が多い。今日は前半の最初に(失点をした)。チームの士気こそ下がってはいないですが、みんな『またか』と思う部分があったと思います」(大分MF長谷川雄志)
大分は川崎の素早いプレスによって前線の3枚にくさびを打ち込めず、バックパスに終始。その間に川崎はラインを押し上げる。大分としては自陣でボールを回す時間が長くなれば、1つのミスで一気にピンチを招く危険性がある。2失点目がまさにそれだった。
24分、ゴールキックからの最終ラインでのパス回しでばたつくと、右ウィングバック小出悠太のバックパスをビルドアップに加わったFW渡大生がスルー。それに誰も反応できず、ボールは川崎FWレアンドロ・ダミアンのもとにわたり、追加点をあっさり奪われた。
大分は後半に入っても中盤が間延びし、川崎の圧倒的なポゼッションと攻守のトランジションの早さの前に沈黙した。
「ボールを受けてターンしたとしてもあの距離感だと(ボールを)出せないし、それ以上に(相手の)プレッシャーも早い。全体的にもっと距離感を近くしないといけない」と長谷川は反省を口にする。「これだけボールを持たれると苦しくなるので、ビルドアップ、立ち位置、いろんなことのレベルをもっと上げていかないといけない」とはJ3時代からチームを知る主将のDF鈴木義宜だ。選手たち自身も現状に危機感を覚えている。