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鈴木誠也は内野ゴロでも全力疾走。
非でも脱でもない「着・完璧主義」。 

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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photograph byHideki Sugiyama

posted2020/07/21 11:50

鈴木誠也は内野ゴロでも全力疾走。非でも脱でもない「着・完璧主義」。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

打撃成績は上位に入るも、チームは7月に入って4勝10敗1分と苦戦が続いている。

維持は衰退。危機感は常にある。

 好結果が、安心感を与えるわけでもないようだ。12日のナゴヤドームでの中日戦では2試合連続マルチ安打、1試合3打点と調子は上向きだった。だが、本拠地広島に移動してからの14日巨人戦では間合いがあっていないように感じ、打席の中で悩んでいるようにも見えた。もちろん巨人投手陣の出来もあったかもしれない。ただ、シーズン前に聞いた朝山東洋一軍打撃コーチの言葉を思い出した。

「誠也は100点の打撃をしたいように感じる。こちらが状態がいいと思っても、本人の中で何かが違ったり、もっとこうしたいというものがあれば納得しない。こちらから『少し雑になってもいいんだよ』とは言っているんだけどね」

 対峙した投手との真剣勝負は、やるか、やられるか。ただ「H」ランプを灯すために全神経を集中させる。チームのために「四球」は選ぶ。ただ、投手との勝負における「四球」という結果には「興味ない」と言ったこともある。

 理想の打撃を追い求める終わりのない道のりの途中で、立ち止まることなどできない。維持は衰退を意味する。そんな危機感が4番となった今も常にある。

首位打者バットにもこだわりはない。

 首位打者と最高出塁率で初めてのタイトルを獲得した昨季終了時もそうだった。

「挑戦しないと、人は変わらない。ある程度同じ型のバットを使って、あれくらいしか結果が出ないことが分かった。体も毎年変わるので、変えていかないと。ずっと同じだと不安になる」

 タイトル獲得は鈴木誠也にとって節目であっても、ゴールではない。シーズン終了後にまず決断したのは首位打者バットとの別れ。バットの重量を上げ、型もいくつか試した。延びた調整期間の最後まで試行錯誤した。結果的には昨季の型のバットに戻したものの「失敗しないと成功はない」と言った言葉を実行した。

【次ページ】 無安打に終わった7試合は1勝6敗。

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